2017.03.27
第9回 Altcoin ―後編―
はじめに
[第8回 Altcoin -中編-]に引き続き、主要なAltcoinプロジェクトを紹介します。Monero、NEM、Ethereum Classicを紹介します。
Monero
通貨単位 | XMR |
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コンセンサスアルゴリズム | Proof of Work |
アルゴリズム | CryptoNight |
発行枚数 | 2022年5月前後までに約1813.2万 XMR発行。その後、毎年約15万7788 XMRずつ発行 |
ブロック生成間隔 | 約2分 |
公式サイト | https://getmonero.org/ |
ホワイトペーパー 原文(英語版) | https://cryptonote.org/whitepaper.pdf |
日本国内の主な取扱取引所 | Coincheck(Moneroを入出金することは不可能。トレードのみ) |
Monero(モネロ)はもともとはBytecoinという暗号通貨のクローンとして始まりました。が、そこからプロトコルなどは改良されています。今年(2017年)の1月にあったハードフォークでも、リング署名の使用をデフォルト化し、2017年9月に予定されている次のハードフォークでリング署名を使用することを強制するハードフォークを予定しているなど、開発が行われています。匿名化に関しては完全ではありませんが、実用的レベルです。
日本語で書かれたCryptoNoteのわかりやすい説明が https://www.overleaf.com/read/nbbwfwpzjbfh#/24836964/ にあります。
NEM
通貨単位 | XEM |
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コンセンサスアルゴリズム | Proof of Importance |
発行枚数 | 89億9999万9999 XEM 最初に全部が発行済。ブロック報酬は手数料のみ |
ブロック生成間隔 | 2分前後 |
公式サイト | https://www.nem.io/ |
ホワイトペーパー 原文(英語版) | https://www.nem.io/NEM_techRef.pdf |
ホワイトペーパー 日本語版 | http://nemmanual.net/NEM_Technical_reference_JA/ |
日本国内の主な取扱取引所 | Zaif |
NEM Core Devが日本の会社であるテックビューロに採用されていることもあり、何かと日本国内にファンが多いNEM(ネム)です。コンセンサスアルゴリズムにProof of importance(第7回参照)を採用したり、ノードの評価システムであるEigenTrust++ を導入し、悪意あるノードが参加しにくくするしくみを導入したりと、なかなか特色ある暗号通貨となっております。
また、インターネットにおけるドメインのようなシステムであるNameSpaceや、NameSpaceを持つことで作れるMosaicというトークンを作るシステムが標準で実装されてます。
ちなみにMosaic Dex(分散型取引所)や、スマートコントラクトは「実装予定」とのこと。
また、公式ウォレット(NanoWallet)にデフォルトでファイルの権利の公証、権利譲渡機能が付いています。これはApostille(アポスティーユ、公印確認)と呼ばれています。これはファイルをハッシュ化し、トランザクションに記録します。
そのトランザクションがブロックに取り込まれることにより、のちにその時にファイルが確かに存在したということを証明できます。ただしこのようなものは判例がないため、法的根拠になるのかは疑問です。
私もこの連載の第1回のをApostilleしてみました。以下がその証明書です。
連載が完了致しましたら、暇な時にでもすべての連載をApostilleしてみようかと思います。もしかしたら[ブログ]に書くかもしれません。
また、このテックビューロという会社は、プライベートチェーンであるmijinという製品も発売しています。いくつかの企業で実証実験などもされてます。
Ethereum Classic
コンセンサスアルゴリズム | Proof of Work 将来、Proof of Work/Proof of Stake併用に? |
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アルゴリズム | Ethash |
発行枚数 | 初期発行量は7200万ETH + ブロック報酬 5 ETH 上限は2億3000万 にする方向で調整中? |
ブロック生成間隔 | 15秒前後 |
公式サイト | https://ethereumclassic.github.io/ |
日本国内の主な取扱取引所 | Coincheck |
Ethereum Classicは何やらEthereumと名前が似ていますがそれもその通り、もともとEthereumとは1つだったのです。本連載の第11回目で詳しい顛末を書きますが、EthereumはThe DAOから資金が流出した際に、ハードフォークというものを行いました。これはいわば、互換性のないアップグレードのようなものです。新しいコードを適用する代わりに、古いコードを適用できなくするというものです。これにより、古い方のソフトウェアは新しい方が出したトランザクションを拒否します。逆もまた然りです。
この資金流出をチャラにするハードフォークがなされたのですが、一部の人たちはこれを拒否し、古いバージョンのものを使い続け、これがいまのEthereum Classicになっています。
Ethereum Classic側の主張としては
「Ethereumはいかなる検閲(これは資金が流出したことをなかったことにしたこと)もすべきではない。また、1つのDApps(コントラクトを使った分散型のソフトウェア)の資金が流出しただけであって、Ethereum側の脆弱性をつかれたわけではない。」
ということが挙げられます。
そんなことがあったEthereumとEthereum Classicですが、お互い独自路線を進んでいっている模様です(著者はこの暗号通貨はあまりウォッチしていないのですが・・・)。
「第10回 EthereumとDApps」に続きます。