アラカルト みらい企業のリテラシー

vol.7 コミュニケーション

生産性を高めるビジネスチャットが大人気!

文●山田井ユウキイラスト●鈴木順幸

ITの発展で変わりゆく日本のビジネス。企業が抱える悩みを「みらいチャレンジ株式会社」の2人が解決。

カジュアルであること、それがビジネスチャットの良いところ

─今回のテーマは「ビジネスチャット」です。メールに替わる新たなコミュニケーション手段として、IT系企業を中心に導入している企業が増えています。そのメリットとデメリットについて語っていただきたいと思います。

徳本●ビジネスチャットね。最近は本当にいろいろなサービスが増えたよね。スカイプ(Skype)、スラック(Slack)、チャットワーク(ChatWork)、ワークスモバイル(Works Mobile)、ウォンテッドリーチャット(Wantedly Chat)…、フェイスブック・メッセンジャ(以下メッセンジャ)も、使い方によってはビジネスチャットになる。

中野●徳本さんはどれを使っているんですか?

徳本●僕はメッセンジャを使うことが断トツ多いね。ほかには、スカイプ、LINE、チャット機能もあるグループウェア、サイボウズ・ライブもたまに使う。昨年はアメリカのライク(WRIKE)っていうサービスをよく使っていたよ。先方がどうしてもこれを使いたいっていうから。そういう中野君は?

中野●僕はチャットワークですね。お客さんにも「使ってます?」と聞いて、使ってなかったらおすすめしたりしています。社長さんと直に話せるなら早いのですが、大きな会社になると社内決済が面倒だからみたいな理由で、結局メールのままになることが多いですけど。

徳本●まあ、そこはクライアントに合わせるところがあるよね。たとえば、僕のクライアントで台湾の人はLINEしか使わないこともある。割合でいうとメッセンジャ7割、チャットワーク1割、その他2割かな。

─お二人ともチャットを使いこなしていらっしゃいますが、たとえばメールなどと比べたときに、チャットのメリットはどこにあるのでしょうか。

徳本●メリットの1つはレスポンスの速さだよね。メッセンジャはMacに通知がくるからすぐにわかるし、返信するのも速い。

中野●そうですね。チャットワークでもそれは感じます。iPhoneにも通知が飛んでくるので、スキマ時間を有効活用できます。

徳本●メールだとそうはいかないよね。

中野●メールだとどうしても埋もれてしまいますよね。メールはストックではなくフローなので、大量に届くと重要なものが流れてしまいます。

徳本●プロジェクト単位でグループが作れることも大きいよね。メッセンジャにしろスラックにしろチャットワークにしろ、チャットグループを作って、そこにメンバーを招待する。つまり、プロジェクト単位で話を進められるわけ。ところが、メールだと全然関係ないメールが同じ受信トレイに入ってしまう。いちいちクリックして開かないと、それがどのプロジェクトに関することなのかわかりにくいし、話の流れを一覧しづらいよね。

中野●それはありますね。メールだと件名に「Re:」を付けることが多いですが、それを付けることでどの案件のメールなのかを判断することが多いです。件名を変えられたりすると、もう何のメールだかパッと見でわからなくなってしまう。

徳本●何なんだろうね、あの「Re:」文化(笑)。

中野●不文律みたいになっていますよね。

徳本●不文律といえば、「CC」もいまいち曖昧な扱われ方をするよね。確認のため見ておいてほしい、というような意図で付けられることが多いけど、その確認の重要度が場合によって違うから…。「証拠を残す」ためだけに追加されたりして、見なくてもいいメールまで届いてしまう。そのうち意味ないなと思ったメールは開封しなくなってしまうんだけど、そういうときに限って重要なメールが混じってたりして(笑)。

中野●クリックするまで中身がわからない、というのはメールならではのストレスです。

徳本●そこは、メールのそもそものコンセプトが「手紙」の置き換えであることが大きいのかもしれないね。

中野●メールの文化といえば、「●●様。お世話になっております」問題もありますね。

徳本●ああ、あるね。

中野●チャットだと、いちいちあれを書かなくていいだけでありがたいです。

徳本●そういえば中野君はチャットもメールもかなり短いもんね(笑)。

中野●でもやっぱりメールだと「お世話になっております」って書いちゃいますよ。

徳本●本来、そんな規則はないはずなんだけど、皆書くよね。それが当たり前で、ビジネスマナーみたいになってしまっている。丁寧であることが悪いわけではないんだけど、チャットにはメールにはないカジュアルさがあって、それが長所だと僕は思うな。

中野●たしかにチャットはカジュアルです。

徳本●最近思うんだけど、ビジネスってここ数年でどんどんカジュアル化しているよね。仕事で会う社長も、軒並みネクタイやスーツを着なくなって、カジュアルなジャケットスタイルになってきている。それはただのファッションじゃないと思うんだ。僕は何事も「カジュアルである」ほうが生産性が上がると思っている。たとえば、メールだと「ご飯食べに行きましょう」って伝えるだけなのに仰々しくなってしまうけど、チャットだと軽く誘える。そこから新しいビジネスが生まれたりすることがよくあるよ。

中野●たしかに、メールだとある程度重要な用件以外は送りにくい雰囲気がありますよね。実はそれが機会損失につながっているのかもしれません。

徳本●メールの“重さ”を感じるのは、特に集中して資料を作っているとき。そこでメールが来ると、頭を切り替えるのに時間がかかるんだ。でもチャットだと、メールよりも軽く読めるからか、頭を切り替えるのにメールほど時間がかからないんだよね。個人的に、メールってマルチタスクに向いていないツールだと思っている。

大事な書類を送って法律的には問題がないの?

─チャットのメリットとメールのデメリットはよくわかりました。では逆に、ビジネスチャットを導入する際に気をつけるべき点はあるでしょうか。

徳本●まずセキュリティの問題があるね。

中野●そうですね。気にされる方は多いです。

徳本●でも、チャットのほうがセキュリティもよほどしっかりしていると思うんだよね。メールだと誤送信を取り消せないけど、チャットはあとから編集したり削除したりできるものもある。それにチャットなら、メールを開いて即感染する類のウイルスの心配もないし、むしろセキュアだと思うんだけど。

中野●でもなぜか重要書類はチャットじゃなく、メールで送ってほしいと言われることが多いですね。

徳本●ちなみに重要書類をチャットで送るのは法律上何か問題があるの?

中野●まったく問題ありません。もちろん、運営会社をしっかり調べて選ぶことは大事ですが。

─セキュリティ面以外での懸念点はありますか?

徳本●強いていうなら、あまりにもカジュアルであるために単なる雑談ツールにならないよう気をつけることくらいかな。

中野●簡単にメッセージを送れる分、グループメンバーの関係性が問われますよね。

徳本●そう、同じチャットグループでも仲がいい人とそうでもない人がいたりする。そのとき、仲がいい人とあまりにも親しい言葉で会話していると、そうでない人と温度差が生まれてしまうかもしれないね。

中野●メールだとある程度定型化されている部分がありますし、ビジネスであることを意識して全員にわかりやすく説明したりするので、そういった温度差は生じにくいですね。

徳本●それがメールのメリットでもあるよね。

─そういった事態を防ぐにはどうすればいいでしょうか。

徳本●会社の場合は、運用ルールを作ることが一番だろうね。

中野●使ってみて、今いった課題が出るなら、その都度作っていけばいいでしょう。

徳本●注意すべき点もあるけど、やっぱりビジネスチャットは生産性を高めるのにとても有効なツールだよ。もちろん、すべてのコミュニケーションがチャットに置き換わるわけはない。リアルのコミュニケーションも大事だし、チャットを導入したからって対面式の会議を全部なくせるとは思えないからね。

中野●報告するだけ、みたいなつまらない会議はなくせそうですけどね。

徳本●一方で、アイデアを出し合うようなクリエイティブな会議は、チャットよりもやっぱり顔を合わせたほうが捗ることも多い。

中野●そうですね。ただ、それ以外のコミュニケーションにはチャットは非常に有効だと思います。

徳本●チャットに抵抗を持つ人がまだいるかもしれないけど、利便性には勝てないはず。昔インターネットがビジネスに入ってきたとき、僕がいくら勧めても会社の上の人たちはメールを使わなかったんだ。「デジタルなんて信じられない。消えたらどうするんだ。Eメールよりファクスや電話だろ」ってね。

中野●そのときのメールのように、いずれチャットがビジネスコミュニケーションの主流になってくるかもしれませんね。

 

 

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[みらいチャレンジ] 長年の広告会社勤務でマーケティング畑を歩んできた徳本昌大氏と、IT企業に特化した弁護士・中野秀俊氏が2016年4月に設立。企業経営にまつわるさまざまな課題をノンストップで解決し、「みらい」に「チャレンジ」する起業家・経営者を増やすのが同社のミッションだ。【URL】http://mirai-challenge.com


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