2016.01.03
今日のiOSデバイスはクリーンな外観で美しいフォントを備え、整然とした魅力に溢れている。だが、誰もが迷わずに使いこなせる製品になっているだろうか。シンプリシティや見た目の美しさを追求する一方で、アップルは本当の意味でのデザインを破壊しているとドナルド・ノーマン氏とブルース・トグナツィーニ氏が指摘した。
古いデザイン手法に回帰
米ビジネス雑誌「ファスト・カンパニー」に掲載されたドナルド・ノーマン氏とブルース・トグナツィーニ氏のコラム「いかにアップルがデザインを貶めているか(How Apple Is Giving Design A Bad Name)」が論争を巻き起こした。グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)でコンピュータを変えて以来、アップル製品は使いやすくてわかりやすいという評価を得ている。だが、近年のアップル製品はシンプルで見た目は美しいものの、そのユーザインターフェイス(UI)やユーザエクスペリエンス(UX)はデザインの原則を見失っていると2人は厳しく批判している。
ノーマン氏とトグナツィーニ氏は、UI/UX研究で大家と呼ばれる存在である。また、アップルのヒューマンインターフェイスの発展に深く関わってきた。ノーマン氏は認知心理学の第一人者であり、1993年にアップルフェロー、そしてユーザーエクスペリエンス・アーキテクトという肩書きでアップルに入社し、同社の研究部門ATGの副社長になった。トグナツィーニ氏は1978年から14年間、アップルに在籍した。ユーザインターフェイスグループの創設者であり、最初のヒューマン・インターフェイス・ガイドラインを作り上げた。
ノーマン氏らは、使う人を中心に置いて、その必要性を読み取り、人々を助けられる製品やサービスを提供するのがデザインの本分であるとしている。美しく仕上げるのはモダンデザインにおける一部でしかない。ところが、今日のアップルは見た目を何よりも重んじる古い考えに回帰し、本当の意味でのデザインを破壊していると手厳しい。
ドナルド・ノーマン氏は現在、カリフォルニア大学サンディエゴ校のデザイン研究所のディレクターを務め、ノースイースタン大学のエンジニアプログラムなどにも関わっているが、主にニールセンノーマングループのコンサルタントとして活躍している。
【URL】http://www.jnd.org/NNg-Photographs/NNg-photographs.html
ブルース・"トグ"・トグナツィーニ氏は、アップルを退社してからサン・マイクロシステムズやウエブMDを経て、現在はニールセンノーマングループでノーマン氏、ジェイコブ・ニールセン氏とヒューマン-コンピュータ・インタラクション研究のドリームチームを結成している。
【URL】http://asktog.com/atc/about-bruce-tognazzini/