2019.02.03
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Appleは、2018年にリリースしたすべてのMacに、自社設計したApple T2セキュリティチップを導入した。Macのセキュリティを強化するために搭載されたこのチップによって、今までのMacの常識が通用しない部分が出てきた。そこで、T2チップ搭載Macとの上手なつき合い方を考えてみよう。
アップルT2チップとは?
アップルT2セキュリティチップ(以下、T2チップ)は、アップルA10フュージョンをベースに開発されたカスタムSoC(システムオンチップ)である。Macのメインプロセッサは、いうまでもなくインテル製プロセッサだが、T2チップはSSDストレージのコントローラ、タッチIDのサポート(MacBookプロ/エアのみ)、H・265/HEVCアクセラレータ、フェイスタイムカメラの画像信号プロセッサなどを内蔵したコプロセッサの集合体だ。
T2チップのもっとも重要な役割は、ストレージの暗号化である。暗号化といえばmacOSには「ファイルヴォルト(FileVault)」が用意されているが、実はT2チップ搭載Macのストレージは常にリアルタイムで暗号化されている。T2チップ内の暗号化エンジンが高速に暗号化/復号化しているので、ユーザは気づかず、ストレージのアクセスが遅くなることもない。
このため、T2チップが故障するとストレージの復号化が行えなくなり、保存されたコンテンツの復元が非常に困難になるのがT2チップ搭載Mac特有のリスクだ。よって、バックアップの重要性はより高くなる。T2チップ搭載Macのオーナーは、タイムマシン(Time Machine)などを利用してしっかりバックアップを取っておこう(162ページ以降のMac Fanベーシックを参照)。
一方、わかりやすいメリットの1つとして、T2チップにはHEVCアクセラレータが内蔵されているので、4K動画配信時代に突入すると大きなアドバンテージになる。エンコードも高速化されるだけでなくデコードにも使えるため、メインプロセッサに負荷をかけずに動画再生が可能になる。つまり、ピクチャ・イン・ピクチャなどで“ながら視聴”していてもMacのパフォーマンスに影響しにくくなるのだ。