2019.01.30
IT、モバイル、デザイン、アートなど幅広くカバーするフリージャーナリスト&コンサルタントの林信行氏が物申します。
平成時代を象徴するメディア、CDが登場したとき、それは半永久的に使われるメディアだと言われた(その前のレーザディスクという映像用ディスクも同様に呼ばれた)。だが、今、人にCDをもらうと困ってしまう。車に乗らないとCDが再生できないのだ。
年末に引越しをし、大量の持ち物を整理することになった。テクノロジー業界では30年近くそれなりに活躍してきたので貴重な資料も多い。アップルをはじめとするテクノロジー企業の歴史的資料や取材の記録だけでなく、歴史ある実家の荷物も混じっていて、桐ダンスの引き出しから昭和12年(1937年)の新聞が出てきたり、前回の東京オリンピックの公式プログラムも出てきたりした。面白い発見があるたびに、iPhoneで写真を撮り「#林アーカイブ」のハッシュタグでツイッターに投稿した。
しかし、もっとすごい仕事の記録もあるのに、それらが全然投稿できていないと気がついた。そうした記録の多くは膨大な量のフロッピーディスク、CD-ROM、MO、リムーバブルハードディスク、フラッシュメモリ、そして外付けハードディスクなどに記録されていたのだ。
紙の資料であれば80年以上前の新聞でも、すぐに内容がわかるし、撮影してツイッター投稿もできる。しかし、ディスク類に保存されたデータを取り出すには何重もの壁がある。まず昔のディスクドライブはUSBではなくSCSI(スカジー)という技術で接続していたので、これをどうつなげるかが問題だ。そもそもつなげられても、今のMacではOS側が読み込みに対応していないだろう。
一番の近道は当時使っていたパソコンにディスクをつないで読み込み、ネットワーク転送する方法だろうが、そもそも昔のパソコンが起動するかもわからなければ、ディスク類を接続するソフトや今のMacとネット接続するソフトが入っているかが怪しい。