第三週


逃亡者はとりあえず海を目指すものなのだろうか。

二人くらいは砂丘を目指してみるのもありなのではないだろうか。

でも君が「海がいいの」と言った以上は従うさ。

人が海に沈むシーンで始まつた映画を僕は海として観た


まったく片田舎の道路ってのは、

へその緒にそっくりだ。

守れない約束ばかり増えてゆきドリンクホルダーをはみ出しさうだ


嘘ってのは一生続いても嘘なのかな。

これを旅と言ひ切ることもパンケーキのやうに重ねた嘘の一つさ


ずいぶんとくたびれ始めてきた愛車のために歌おうとしたら、

仏足石歌になってしまった。

問いの時点で答えが出ていることにさえ、

もう答えを出さなくては気が済まない。

逃げるというのはそういうことだ。

夜のたびにへこみの増えるボンネット。ポンコツなのは僕らの方か?――僕らの方さ。

 

2014.1.27

カテゴリ: シーズン1, 山田航
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