図は15時30分頃の局面。後手は△５五歩の突き捨てから△７六歩と打ち捨てて△５五銀と出ましたが、図の▲５六歩に応手が難しくなっています。△５六同銀は▲６六馬、あるいは▲８八飛で先手良し。△４四銀と引くのは▲５八飛で次に▲７九金から角を捕獲される筋が受けにくい。
「これは後手がはっきり苦しくなっていると思います」と石田四段。

中継室を訪れた加藤九段も「これは居飛車が清水さんですか？　そうですか、ほうほう。清水さんはとても強いけれど、この将棋に関しては先手の室谷さんのほうがうまく指しているように見えますね。馬が手厚いですし、振り飛車としては理想的な展開でしょう」と、先手の指し回しを絶賛しています。

苦境に陥った清水女流六段、百戦錬磨の勝負手を繰り出すことができるでしょうか。

（八雲）

図で後手の８九角は詰んでいます。△７五歩と打っても▲８九金△７六歩に▲６三角で、これは先手勝勢です。後手は駒損が避けられない展開。形勢ははっきり先手優勢です。後手はなんとか暴れて、勝負に持ち込みたいところ。
60手目の局面で、残り時間は▲室谷６分、△清水25分。

（八雲）

図は17時頃の局面。△２七香成▲同玉△３五桂が後手の狙い筋ですが、残る駒が角だけでは▲２八玉に△２七に打ち込む駒がありません。
「これは明確に先手が勝ちになりました。駒得で全ての駒がさばけた格好です。いつでも▲５九金打などで安全にすることができるのも大きいですね。後手は勝負手を見出すことが難しくなってしまいました」（石田四段）

（八雲）

17時過ぎ、間もなく先手勝ちで終局か、そう思われていたところから、まさかの展開。図の王手飛車取りから一番いいタイミングで飛車を抜いて後手の勝ちになっている模様です。着実にリードを広げていた室谷女流初段ですが、最後の着地で痛恨のミス。

「いやあ、まさかここから逆転があるとは。将棋は怖いですね」（石田四段）

（八雲）