感想戦後に囲み取材がありました。
数日前から少し眠れなくて。相手が三間飛車にすると思ったので、そのあたりを中心に検討しました。
――実際には横歩取りになった。
横歩取りは意外だったので、そのあたりは手が止まってしまいました。
――初挑戦を決めたいまの気持ち。
まだまだ実力不足なのですが、よい将棋が指せるようにしっかり準備したいと思います。
――西山女王とは2月19日の女流王位戦リーグでも対局している(西山勝ち)。どのような将棋だったか。
序盤は自信のない展開でした。終盤では詰みを見逃したり、ほかにも勝ち筋を何度も逃したりして悔しかったんですけど、熱戦にすることができたのはよかったです。
――当時の手ごたえはどうだったか。
中盤あたりはこちらが少し悪くて、(西山は)強い指し回しでした。中盤は修正していかないといけないかなと思います。
――五番勝負はどのような展望を描いているか。
西山さんはタイトルを何回も獲っている実力者。(自分は)まだまだ実力不足ですが、熱戦にできるようにしっかりと準備をして頑張りたいと思います。
――女流棋界の2強(西山女王、福間香奈女流五冠)、4強(+加藤桃子女流四段、伊藤沙恵女流四段)の構造を打破できそうか。
挑戦するからには相手に勝つ気持ちで、ひとつひとつ集中して頑張りたいと思います。
――タイトル挑戦で女流二段に昇段した。
素直にうれしく思います。それと同時に将棋の実力も上げていきたいと思います。
――女流棋士になった当時の目標と、いまの現在地を比べてどう思うか。
まさかタイトルに挑戦するとは思っていなくて、最初のころは少しずつでも勝ち上がっていければいいな、という気持ちでした。(いまの状況は)予想外でした。
困ったときには優しく声をかけてくださったり、少し道に迷ってしまったこともあるんですけど、ついてきてくれたり。とても優しくしてもらいました。
――道に迷ったとは、いつ、どのようなことで。
最初は東京・将棋会館の場所がわからなくて。
――あ、道に迷ったとは、そういうことですか。(人生の道、将棋の道と思っていた一同は爆笑)
たまたま通りかかった人に案内してもらって。誰だったかは覚えていないのですけど(笑)。
――福間香奈女流五冠や加藤桃子女流四段といった強豪を本戦で破り、挑戦にだどりついたことについて。
誰が相手でも一局一局、集中して丁寧に指すことを心掛けてきたので、それを生かすことができてよかったです。(相手の強さを)意識してしまうと手が伸びなくなってしまうので、そういったあたりは気にしないようにしました。
――最近の好調について、「何かが変わったことはない」と話していたが、何か思い当たる要因はないか。
コンピューターを使って検討する時間を増やした、ということはあります。いままではネット将棋だったりで実戦を指すことが多かったです。(コンピューターの検討では)序盤研究や終盤の指し手がとても勉強になります。
――コンピューターで検討する時間を増やしたきっかけは。
(実戦では)序盤で時間を使うことが多かったので、序盤研究で時間を短縮して、終盤で時間を使えるようにしたいと思いました。(始めたのは)1~2年ほど前だと思います。序盤であまり時間を使わなくなりました。
――女流棋界のトップは振り飛車党。居飛車党として挑戦することの意義や自負について。
居飛車は昔から指していて、とても思い入れがあります。その戦法で挑戦までいけたことはうれしく思います。
――森門下・広島出身の居飛車党には、山崎隆之八段や糸谷哲郎八段がいる。
山崎先生も糸谷先生も(自分とは)違うタイプかもしれませんけど、自分が絶対に読まない手を指されるあたりは、とても尊敬しています。
――研究の合間にどのような息抜きをしているか。
対局が終わったあととか、映画鑑賞をよくします。ミッション・インポッシブルはずっと好きです。
――西山女王が女流棋士になった2021年4月以降、西山、福間、加藤、伊藤の全員に勝ったことのある女流棋士はいない。西山以外の3人に勝っていることについて。
知らなかったです。(4人と指すときは相手を)少しは意識してしまいますけど、平常心で戦おうと思いました。
終局直後にインタビューがありました。
(大島女流初段はタイトル初挑戦と二段昇段を決めた)
――いまの気持ち。
大島 まさか自分がタイトル挑戦までいくとは考えていなかったんですけど、挑戦が決まったからには一生懸命、準備したいと思います。
――戦型が横歩取りになったことについて。
大島 三間飛車になるかなと思っていて。初手▲2六歩には相掛かりと横歩取りで少し悩みました。
――好調の理由。
大島 何かが変わったということはないんですけど、一手一手丁寧に指そうと心がけていました。
――21歳の若さで挑戦権を獲得した。
大島 本当にうれしく思います。
――▲5三角成から▲5六飛(43手目)のあたりはどのように考えていたか。
大島 一手一手怖くて、形勢はよくわかっていなかったです。
――どこで優勢を意識したか。
大島 ▲6七玉(63手目)あたりです。
(敗れた北村女流二段。「自分の弱いところが出てしまった」)
――2015年の第37期女流王将戦以来の挑戦者決定戦だった。
北村 まさかここまで来れると思っていませんでした。せっかくのチャンスなので、しっかり準備して挑もうと思ったんですけど、ちょっと序盤の作戦がうまくいかなくて、苦しい展開だったかなと思います。
――最近、居飛車を指している。心境の変化などあったか。
北村 いろんな形も指してみたいなと思うようになり、最近居飛車を指し始めたんですけど、本局は自分の弱いところが出てしまったかなと思います。
――弱いところとは、具体的には。
北村 序盤の準備不足もありましたし、終盤の粘るところも逆回りで、まだまだ弱いなと感じました。
――横歩取りは想定していたか。
大島女流初段が寄せに入りました。敵陣に飛車を打ち込み、次に△5七歩を狙います。▲7八歩と受ければ△8五桂。横歩取りで桂2枚が参加する攻めは理想のひとつです。4五桂や4六歩も急所に利いていて、先手がしのぐのは容易ではありません。後手が勝勢になりました。
【里見香奈 vs 西山朋佳 実戦集】
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