感想戦後、西山女王は報道各社による共同インタビューに応じました。
――五番勝負を3勝1敗で制して防衛が決まりました。改めて、いまのお気持ちをお聞かせください。
西山 調子の悪い時期が続いていて、開幕前は防衛は厳しいかもしれないと思っていたので。今日も、くるときは勝つ自信はあまりなかったんですが、唯一の取柄である粘り腰をちゃんと発揮して頑張れたのが勝因の一つかなと思っています。
――「調子が悪い」というのは、五番勝負以外での対局も含めてということでしょうか。
西山 そうですね。気づいたら悪くなっていたという将棋が多くて、大局観に特に問題があるということを奨励会の対局でも感じていました。それが成績の低迷につながってしまっていたかなと。
――前期五番勝負と今期五番勝負とでは、気持ちの面で何か違いはありましたか。
西山 挑戦者だった前期は、伸び伸びと指せている感覚がありました。今期はタイトル保持者として里見さんという本当に強い方の挑戦を受けるということに重圧を感じましたし、上座に座るのも緊張するくらいでした。ですので、シリーズを通して挑戦者の気持ちで臨むように心がけてはいました。
――里見女流四冠と五番勝負を戦ってみての感想を教えてください。
西山 本当に大勝負に慣れていらっしゃるなということは、対局していて感じました。開幕から連勝して、数字の上では有利になったんですが、逆に私のほうが追いつめられているような感覚もあったりして。たくさんタイトルを取られている方は違うなと。
――そんな里見女流四冠に勝ったということについてはいかがですか。
西山 里見さんにとって今期の五番勝負は女流全冠制覇に向けての戦いという面もありましたが、全冠制覇というのは何とか阻止したかったので、その点は非常に嬉しいです。
――今期五番勝負も全局、振り飛車で戦われましたね。
西山 そうですね。今期も振り飛車一本でいくことは決めていました。
――4局の中で、どの将棋がいちばん印象に残っていますか。
西山 第2局ですね。ちょっと悪い将棋だったと思うんですけど、ぎりぎりのところで土俵を割らずに頑張れたのが、最近ではあまりない勝ち方だったので、自信になりました。
――今後の目標や、どのように将棋に取り組んでいきたいと思われているかを教えてください。
西山 里見さんを相手に防衛できたということは、本当に今後の大きな自信になると思いますので、その自信を糧にして今後も成長していきたいと思います。
――今期五番勝負で着られた和服はどのように用意されたのですか。
西山 今期も白瀧呉服店さんに貸していただきました。(若女将の)あゆみさんにいろいろ考えていただいて選びました。
――和服での対局は違うものがありますか。
西山 「タイトル戦なんだ」と、気が引き締まる思いがします。
――お姉様は囲碁棋士(西山静佳初段)ですね。妹さんのほうが先にタイトルを取られたことについて、お二人で何か話をされたりしたことはありますか。
西山 家でもしょっちゅう話していて、私のほうから姉によく「早くして」と発破をかけているんですが(笑)。まだなかなか。
――お姉さまのほうからはどうでしょうか。
西山 今期の五番勝負は本当に自信がなかったんですが、第3局で負けたときには姉が励ましてくれました。
(睡蓮)
(初防衛を果たした西山女王)
(里見女流四冠。タイトル奪取は成らなかった)
(感想戦の前に、主催者インタビューに応じる)
◆西山女王の談話
――一局を振り返っていただけますか。
西山 経験のある形だったんですけど、中盤辺りはあまりよく分からなかったです。二択のところで結論が出ないまま指していたりもしたので。終盤に入る辺りでは自信がなくなっていたんですけど……。難解な局面が続いていて、どこで形勢がよくなったのかはあまり分かっていません。
――手応えがあったのはどの辺りでしょうか。
西山 本当に最後のほうですね。銀を取って(82手目の△5六竜)、6七の地点に殺到できそうかなと。
――初防衛のご感想をお願いします。
西山 最近は難解な将棋を勝ちきれないことが多くて、自信を失ったりもしていたんですけど、今回の防衛が大きな自信になるかなと思っています。
◆里見女流四冠の談話
――序中盤はいかがだったでしょうか。
里見 難しいかなと思っていたんですが、攻め方というか、手のつけ方を間違えてしまったような気がします。
――残念な結果になってしまいましたが、いまのご感想をお願いします。
里見 仕方がない結果なので、反省して、また勉強して頑張りたいと思います。
(睡蓮)
第12期マイナビ女子オープン五番勝負第4局は、西山女王が勝利してシリーズ成績を3勝1敗とし、タイトル初防衛を果たしました。
終局時刻は16時27分。消費時間は、▲里見香3時間0分、△西山2時間20分(チェスクロック使用)。
(玉響)