■加藤桃子女王
――本局は向かい飛車でしたが、想定していた戦型でしょうか。
加藤 候補のひとつでしたが、第1局も向かい飛車だったので、採用率は低いんじゃないかと思っていました。
――8筋交換から局面が大きく動いていきましたが、そのあたり形勢はどのように見られていましたか。
加藤 似たような形を練習将棋でやったことがあったのですが、そのときの先入観でよくなるんじゃないかと思って指してしまいました。本譜は誤算がありました。悪手を重ねてしまったので、はっきり悪くなったと思います。
――どのあたりで有利になったと思われましたか。
加藤 金損しているので、最後のほうまでわからないなと。3筋を攻めるしかなく、竜を回ってやや差は詰まったとは思いましたが、よいと思ったところはあまりないです。
――第4局に向けての抱負をお願いします。
加藤 3局とも内容がかなり悪い。でも、その中で頑張って粘っているのが自分らしさだと思います。悪いところはちゃんと反省しないといけない。序盤をしっかりして、終盤は悪くなったら粘って、もっと強化していきたいと思います。
■室谷由紀女流二段
――向かい飛車は予定していた作戦でしょうか。
室谷 はい。△8四歩の出だしなら向かい飛車にしようと決めていました。
――加藤女王の8筋交換に対して5筋で反撃して激しい戦いになりましたが、そのあたりは成算があっての順でしょうか。
室谷 私も似たような形をやったことがあって、五分五分くらいかと思って踏み込みました。途中△4四歩(30手目)と突かれたくらいから、初めての形だったので、どう指していいかわからなかったんですけど……。
――その後は室谷女流二段がややいいという評判だったのですが、自信はありましたか。
室谷 金を取られると思っていたので、香車を取られる(△9九竜=40手目)のをあまり考えていなくて。この桂が5三までいけた(▲5三同桂不成=45手目)ので、指しやすくなったかなとは思っていました。
――その後、何か誤算はありましたでしょうか。
室谷 誤算という誤算はあまりなかったんですけど、金1枚得になってからうまく自陣に竜を引かれて、どこから手をつけていいのかさっぱりわからない状態でした。そのあたりから、ちょっとずつ差が詰まっていったのかなという感じがしました。
――第4局への抱負をお願いします。
室谷 やっぱり自分の中で、第1局もそうでしたけど終盤が課題なので、第4局までにそこを何とかしたいと思います。
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立会人は対局を円滑に進めるために、両対局者の間を取り持つ存在。本局では森下九段が対局開始を告げましたが、これも立会人の役目です。最近は対局者が安心して指し始められるように、開始の際にどちらが先手番かをはっきり告げることが多くなりました。
記録係はその名のとおり、指し手や消費時間を記録します。最近はタブレット端末による記録が増えており、本局もタブレットを使っていますが、これまでどおり棋譜用紙でも記録を取っています。対局者がこれまでの進行を確認する際には、この棋譜用紙を見ることになります。一分将棋に入ると、秒読みをするのも記録係の役目です。
(本局の立会人は森下九段)
(記録係の伊藤沙女流二段)
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