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第10期 >> 挑戦者決定戦

記者会見

2017.02.28

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五番勝負を戦う加藤桃子女王と上田初美女流三段は佐藤康光・日本将棋連盟会長と記者会見に臨んだ。

佐藤康光・日本将棋連盟会長
第1期からマイナビ女子オープンを主催していただいております株式会社マイナビさまには厚く御礼申し上げます。本日、第10期マイナビ女子オープン挑戦者決定戦が行われまして、上田初美女流三段が里見香奈女流五冠を破って挑戦権を獲得しました。私もこの将棋を観戦していたのですが、非常に手に汗握る大熱戦で、最後は上田さんが逆転かなという将棋でした。上田さんが終盤力を見せて、女流名人戦で激闘がありましたけども、その雪辱を果たすという結果になりました。五番勝負は4連覇を目指す加藤桃子女王に上田初美女流三段が挑戦します。加藤さんは4連覇がかかりますけれども、上田さんも2期ぶりの挑戦ということで、2年前はこのお二人が対戦しています。上田さんも過去に2期女王位を獲得しておりますので、常連同士といいますか、またこのお二人が五番勝負を戦うという形になりました。両者とも非常にパワフルな将棋を指されるイメージで、加藤さんは粘り強さを発揮されます。上田さんは終盤力で逆転して勝っていく将棋が多いイメージです。両者とも持ち味を出しきった五番勝負になればありがたいなと思っております。女流棋戦の中でも新年度を飾る五番勝負になります。皆さまも注目していただければと思います。


――挑戦者になられて率直なお気持ちを。
上田 マイナビ女子オープンは2期女王を獲得したこともあり、非常に思い入れの深い棋戦です。また五番勝負に出られるというのはとてもうれしく思います。
――2年前と同じように加藤さんに挑戦されます。
上田 マイナビ女子オープンは今期で第10期ですが、3連覇された方は加藤さんしかいらっしゃらない。非常に強敵だと思います。開幕までまだ時間がありますので、力いっぱい戦えるように準備をしていきたいと思います。

――3連覇中ということですけども、女王のタイトルへの思いは。
加藤 女王を獲得してから防衛を重ねることができたのは幸運だと思っています。どの期もすごく充実していたというか、私自身の欠点を見つけることができましたし、自信になる部分もあって、すごく学ぶ機会の多い棋戦と思っています。3連覇できたことがすごくうれしかったというか、自信になっているので、なかなか手放したくない。大好きな女流棋戦です。
――挑戦者の上田さんの印象は。
加藤 上田さんは今日の将棋もそうですが、勝ちに結びつく手を積み重ねているというか、終盤力がものすごいからこそできる技じゃないかなと思っています。最近の戦い方や充実ぶりを見ていて、私がいうのも申し訳ないんですが、2年前よりもものすごく強くなられていると思います。それは日々の積み重ねや、将棋に取り組む時間にあるのかなと思っていて、努力している姿を尊敬しています。上田先生は女性としても尊敬していて、女性の鑑だと思っています。そうした方と4月からタイトル戦を戦えることが本当にうれしくて、4月までに調整して、全力でぶつかっていきたいと思っております。
――2年前とは私生活等、環境が変わられたと思います。五番勝負への意気込みを。
上田 2年前は女流棋士会の役員も務めておりまして、女流棋士として戦う側面を強く感じていた部分がありました。出産しまして、役員も引き継ぎという形を取らせていただいて、また一からのスタートというんでしょうか、いままでと違う形で、日々大変なことが多いですので、毎日毎日挑戦していくというか、限られた自分の時間の中で、どれだけ取り込むことができるかと思っています。子どもが生まれると子育てが長く続きますので、4月まで毎日子育てという面はあるんですけども、決して言い訳にせず、自分の置かれている状況で全力で取り組んでいきたいと思います。
――女流名人戦は残念でしたが、最近の戦いぶりの原動力は。
上田 好調といっていただく機会が多いのですが、自分としては子どもが生まれる前とそう変わらないつもりです。ひとつ思い当たるのは、自分の中でのオンとオフの切り替えが非常にうまくいっているかなと思います。将棋をやる時間とそれ以外といったら子育てになるんですが、そのバランスがいまのところうまくいっているのかなと。

(書き起こし・文、写真・吟)