対局が始まり、じりじりと指し手が進む。後手の石橋女流四段はなかなか角道を開けない。控室では「これはもしかして」とささやかれていたが、ついに構想が明らかになった。△3一角(図)は「飯島流引き角」と呼ばれる戦法。飯島栄治七段による創案で、第37回升田幸三賞を受賞している。
特徴は、△3四歩と突かないことで振り飛車の角(7七)の脅威を緩和していること。この後居飛車は角を動かしてから△4二玉~△3一玉と美濃囲いに収まる。対する上田女流二段は向かい飛車で対抗。まだまだ実戦例の少ない戦型なので、序盤から目が離せない展開になりそうだ。
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