角交換になって角の打ち込みに注意を続ける必要があり、神経をすり減らすようなじりじりとした駒組みが続きました。互いに戦機をうかがう中、甲斐女流五段は▲2六角(57手目)と角を据えます。直前に▲8九飛(55手目)と回って玉頭に視線が向いていただけに意表の一着。次に▲4五歩と突いて△同桂▲同桂△同銀▲5三角成という狙いはありますが、この筋に備えて△6二金と受けられたときに有効な攻め筋があるかどうか。甲斐女流五段はこの角打ちに40分以上を費やしただけに迫力があります。中村太八段は「見えないところからパンチが飛んできた感じですね。西山さんも狙いを読まないといけません」と話しています。
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