感想戦後に記者会見が開かれました。
(会見に臨む西山朋佳女王)
(質問に答える西山女王)
――1年前の記者会見で、永世女王の響きのいいとおっしゃっていました。その永世女王の資格を得た感想をお願いします。
西山 昨年防衛して、あと1期ということになったときから1年意識していました。いまは素直にうれしく思います。
――里見さんとは女流タイトル戦2連戦でした。女流王位戦は敗退、マイナビ女子オープンは防衛です。2連戦を振り返っていかがですか。
西山 いろんな力を試された3カ月間だと思っていました。カド番になってどうしようと思っていたので、一つ結果を出せてホッとしています。
――里見さんとの対戦は、相振り飛車で新しい駒組みや、二人で作っている世界があると思います。
西山 見てくださっている方には同じ将棋に見えるかもしれませんが、細かいところで分岐しています。私自身もこの3カ月で以前よりも相振り飛車への知識が増えたと思っています。
――女流王位戦第4局で敗れて、流れは里見女流四冠にあるように感じましたが、西山女王はどのように切り替えて本局に臨みましたか。
西山 この期間、しっかり将棋に取り組んだつもりです。今日負けるのであれば、また1から出直せばいいから、気負わずに臨もうと思いました。
――本局に勝って、永世称号とともに女流四段に昇段しました。女流棋士になってからを振り返って、どのような自己評価をされていますか。
西山 想像以上に多くの対局をこなす中で、自分でも驚くくらいたくさんの課題が見つかりました。それらを一つずつ直さないと厳しい部分があると感じています。
――里見さんと昨年からタイトル戦を戦われて、今回は女流王位戦と同時並行して戦いました。たくさん盤を挟む中で、里見さんの存在はどのようなものでしょうか。それも以前から変化したかもしれませんが、いかがでしょうか。
西山 最近だと、独自の戦法をかなり突き詰めているという印象があります。長く活躍されていながら、探究心を失わずに第一線でやられていることを、自分がタイトル戦を経験させていただいたうえで強く感じています。
――里見さんとは何度も対戦することで、力を向上するような存在であることもありますか。
西山 今回も10番勝負をおこなって、大完敗の将棋もありました。反省しながら臨めたので、タイトル戦で成長できた部分もあったと思います。
――今後の目標はどのようなものでしょうか。
西山 現在、タイトルを2つ持っていますが、過程を思い返しても幸運だったと思うことが多いです。なので、強いことはいえないとは思っています。
一局一局丁寧に、大事に臨んでいて、最終的にタイトル戦に絡めればと思っています。
――これから白玲の防衛戦があります。また、その後のタイトル戦への意気込みをお願いします。
西山 まだまだ至らないことが多いですが、一つ一つ成長していって、タイトル戦ごとに、見てくださっている方々に少しでもいつもと違うなと思ってもらえるよう頑張りたいです。
――女流棋士になったのが昨年4月です。そこから1年ちょっとたって、全女流棋戦に参加したり、女流棋士代表としてプロ棋戦に出たりとサイクルがつかめてきたのではないかと思います。女流棋士を経験して感じることがあれば教えてください。
西山 もう1年たったんだという感覚があります。たくさん対局をこなす中で、負けが込んだときの立て直し方をうまくやっていかないと長く戦えないと思いました。そのときどきで、ちゃんと自分と向き合ってやっていきたいと思います。
――負けが込んだときやうまくいかないときのやり方は、気持ちを切り替えるとか、自分なりのやり方をつかめてきたのでしょうか。
西山 たくさん対局を指す中で、息詰まらないように工夫しながらこなしていくようにしていたと思っています。
――昨年の取材時に和服の着付けを習っているとうかがいました。まさに和服での対局でした。和服で対局することで、普段と違うことがあれば教えてください。
西山 着付けは学んでいるところで、もうすぐで袴に差し掛かるところです。和服を着ると、大一番だと意識して、いつもよりも注目されていると感じて、身が引き締まる思いがします。
(記念撮影)
(銀杏)
(終局直後の様子)
(終局時の盤面を西山女王側から)
(インタビューに答える西山朋佳女王。マイナビ女子オープン史上初の5連覇を果たし、永世女王の資格を得た。クイーン称号の規定を満たした女流棋士は、元女流棋士の林葉直子さん、中井広恵女流六段、清水市代女流七段、里見香奈女流四冠に続いて5人目)
――本局について。
西山 少しずつ自信のない展開が続いていました。
――里見女流四冠とは相振り飛車を何局も指しています。本局はどのあたりまで作戦だったでしょうか。
西山 (これまでとは)細かく違う部分があって、一手一手考える展開でした。
――控室の検討では△4六歩(60手目)で後手が少しよくなったという評判でした。
西山 そこはまだ一局なのかなと思っていました。
――どのあたりで優勢を意識されましたか。
西山 本当に最後のほうでした。
――五番勝負全体について。
西山 負けた将棋は一方的なものが多かったです。何とか軌道修正しながら挑んでいました。
――永世女王の資格獲得について。
西山 5期すべてを思い返しても幸運なことが多く、まだまだ永世称号には(ふさわしい)力が足りないかなと思っています。
(西山女王は2021年に女流三段として、女流棋士になってからタイトル3期獲得したことで女流四段に昇段した)
(敗れた里見香奈女流四冠。第6期以来の女王復位はならなかった)
――本局について。
里見 こちらから動いていきましたが、細かい部分で先を見通せていない状況で攻めてしまいました。そこが悔やまれます。
――昼食休憩(49手目▲5五銀)のあたりの形勢はいかがでしたか。
里見 こちらから攻めて、何とか手を作れると思ったのですが、本譜はあまりよくありませんでした。
――どのあたりで誤算があったのでしょうか。
里見 △5四歩(56手目)の局面で攻め合いの順を考えていたのですが、あまりうまくいっていないのかなと思いました。(その前の)動きがちょっと早かったのかなと思います。
――五番勝負全体について。
里見 戦型はどれも細かく違う部分がありました。負けた将棋はミスが目立ったので、そこが反省点です。
(里見女流四冠)
(インタビューの様子)
(銀杏)