後手は、単純に指すならば△１九と～△２九飛成で桂香を２手で取ることが出来る。
しかし、それでは△１九との時に▲１七桂と逃されたり、と金が端に行ってしまい中央に使えないデメリットがある。

そこで、本譜の後手は△２九と～△２八飛成と香取りは含みに残しつつ、と金の活用を最優先する順を選んだ。

阿部（健）五段「一時的に先手が香得になっています。先手としては駒得になっているうちに、数の攻めに出たいところなのですが、例えば▲６二香△同金▲５四桂△６一金▲４二桂成△同銀は、先手の攻めがあまりうまくいっていません。どう攻めるか、難しいですね」

（梅）

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解説の阿部（健）五段が「先手は一時的に香得なので、このタイミングで攻めたい」と話したところ。
上田女流三段は▲７五桂と打って攻勢に出ました。次に▲６五香～▲４五角から６三の地点を攻める狙いで、そう進めば１段目の竜がよく利いており後手玉は見た目以上に危険な状態です。

阿部（健）五段は「後手は攻め合って勝てるならそれに越したことはありませんが、自信がなく、負けそう寄りに見えます。ここは△７一桂と使って受けるしかなさそうです」

△７一桂と打ってくれるならば、利かしたと考えて▲２二歩成～▲２三角成など別の攻めを狙うことも出来そうだ。

▲６五香と攻めるかと思われたところ、先手は▲２三とと工夫。
単に▲３二とは△同金と取られてしまうが、▲２三と△４四銀を入れれば▲３二と△同金▲４一竜が激痛となる狙いだ。

しかし、先手は▲２三と△４四銀を入れたことにより、同時に▲４五角と攻めることが出来なくなってしまっている。

この手を見て、阿部（健）五段は「これでは、△４八とのと金攻めが間に合うようになったのでは？竜やと金が活躍する攻めは分かりやすいですからね。一転、これは後手が優勢になったと思います」と判断。

終盤戦、一進一退の攻防が続いている。



（梅）

【図】は後手が△５六歩と突き捨てた局面。
▲４五歩と銀を取りに来る手があるので逃げ道を作った意味合いだが、▲同角と取って７五桂と併せて８三の地点を狙う攻めが見えるところだ。

しかし、△５六歩を▲同角と取ると△５一香と打たれる手も気になる。
先手はそこで手抜いて▲８三桂成から△同桂▲６二金△同金▲同竜△５六香▲７一金△９三玉▲７二金△５七香成▲同銀と攻めることが出来るが、これで決まっているかどうか。
決まっていないと、後手に駒を多く渡しているので不安は多い。

先手は長考の結果、この△５六歩を▲同歩と取り、▲同角とは踏み込まなかった。
この決断がどう出るだろうか。