図は14時過ぎの局面。何気なく△9四歩と突いたところですが、この手には怖い狙いが秘められているようです。以下、棋譜コメントより抜粋。
検討が進み、先手の模様が良さそうながら絶対にプラスになる手が難しいかと三枚堂四段。例えば▲5九金(6九角のキズを消しながら金を寄せる)には△8四飛が気になるようだ。▲8六歩に△4四銀▲6六銀△5四飛(参考図)とまわる。つぎの△9五歩と△5六飛▲同歩△6七銀が受けにくい。
「そうかー。後手は一発狙っているから慎重にならないと。気がついたらすぐ形勢が入れ替わっちゃいます」(三枚堂四段)
(八雲)
(八雲)
前図、伊藤女流初段の切り札で角がぶつかった局面で、中継室では角交換を避けて後手の角を働かせない順を検討していました。しかし、甲斐女流二冠は積極的に角交換から攻める順を選択しています。
中継室の検討陣は当初は角交換の選択に懐疑的でしたが、検討が進むにつれて先手の攻めが厳しいことが分かって来ました。
「なるほど、これが一番早い勝ち方なのかもしれません。このまま決まれば、後手の△8八角を働きのない駒にすることができます。先手はこの図の直前に▲2五桂とぶつけた手が、危ないように見えて好手だったと思います。ここからは終盤戦に入りますね。面白くなってきました」(三枚堂四段)
リスクを恐れず積極策で決着をつけにいった甲斐女流二段。
(八雲)