長沢女流四段は自陣角で打開を図った。8筋の飛車先を押さえることに成功したが、なかなか逆襲するまでには持ち込めない。図で▲7五歩と突けば△6三銀と引かせることはできるが、馬の利きが通ってくるのでやはり飛車が走れない状況だ。後手ががっちりと押さえ込みの態勢を作っている。△4六歩と垂らした手も、角の弱いところを狙って厳しい手だ。穴熊は激しい攻め合いでこそ真価を発揮する囲い。なんとか駒をぶつけて戦いに持ち込みたい。
(文)
長沢女流四段は本棋戦の前身であるレディースオープントーナメントから参加。本棋戦成績は10勝7敗(0.588)、本戦進出は3回目となる。以下は本戦進出を果たした期の成績(対局相手の肩書き・段位は当時)。
■第2期
予選 ○大庭美樹女流初段
予選 ○早水千紗女流二段
本戦 ●岩根忍女流初段
■第3期
予選 ○鹿野圭生女流初段
予選 ○藤田綾女流初段
本戦 ○久津知子女流初段
本戦 ●甲斐智美女流二段
和田女流2級の本棋戦成績は2勝1敗(0.667)。第7期で初めて一斉予選に出場。このときはアマチュア選手で、1回戦敗退。今期は女流3級として予選に出場、2人に勝って初の本戦入りを果たしている(以下の対局相手の肩書き・段位は当時)。
■第7期
予選 ●竹俣紅女流2級
■第8期
予選 ○相川春香女流2級
予選 ○西山朋佳奨励会初段
(文)
先手は角を使って後手陣に迫っていくが、後手の自然な反撃が厳しい。△4六歩(図)は痛打で、▲5七金には△5六歩▲5八金△4七歩成▲同金△4六歩という「ダンスの歩」の手筋があり駒損が避けられない。飛車1枚では後手の銀冠に有効な攻めもなく、はっきり先手が苦しくなった。
(文)