現在、中継室に遠山雄亮五段が来訪して、藤森四段と一緒に本局を検討している。

遠山五段「この▲３三歩は痛いですね。しかし、この▲３三歩を見ると序盤に３筋の歩を交換していた辻褄が合います。振り飛車側が上手くやっているのではないでしょうか」

藤森四段「後手は、少し前に△２四歩と突いたのが悪手だったかもしれません。まず、先手は▲７七角とぶつけて角交換して▲４一角と打ち込みたいのです。そこで△２二金と寄るのですが、△２四歩と突いているので▲２三桂と打たれてしまう。これが激痛です。振り飛車側がよくなってきたように見えます」

（対局再開時、考慮中の矢内女流四段。この△３五桂には、どう対処するのだろうか）

やはり将棋は難しい。振り飛車が有利とは見られているが、難解な勝負が続いている。

藤森四段「いよいよ、矢内さんが寄せにいきました。次に▲２三香か▲２三桂と打てば、後手が粘りがきかない形です。△同金に▲３二銀が痛打になっています。ですので、後手は２二に駒を打って受けたいのですが、▲４一銀と打って、清算してから▲３二歩と打つ筋があります。これは後手が困っていると思います」

終盤戦においても、序盤に３筋の歩を交換していた布石が生きている。

（特製の掛け軸）

藤森四段「▲３六歩と打って３五桂を取りにいきました。△２二香と打ったのを生かすべく、△２五歩と突いてくる手を警戒しているのでしょうか。初見は『（勝負に）辛い』という感想でしたが、検討すると▲３六歩はあまり受けに利いていません。代えて▲４一銀と打って攻めたほうが明快に勝ちだったのではないでしょうか」

ここから、△５六馬▲４五桂△２五歩と進んだ現局面がこちら。

藤森四段「いやー、これは......。後手も楽しみが増えてきたような。形勢は不明ですが、どちらにしろここ数手で混戦になったと思います」

先手有利と見られていた矢先、先手が受けに回ったことで再び勝負の行方が分からなくなってきた。