■西山朋佳女王
――序盤の仕掛けは予定の進行だったか。
西山 少し違う形の経験はありました。
――序盤で時間を使っていた。
西山 バランスをとらないと模様が悪くなってしまうと思っていたので、序中盤は苦心して指していました。
――ペースを握った場面もあったと思うが。
西山 ▲3二角(93手目)をあまり読んでいなくて、手拍子で指してしまった。▲8二歩(95手目)で飛車を寄った(△9一飛)ほうがよかったかもしれません。
――勝ちを意識されたのは。
西山 何回も負けだと思っていたので……。最後△6八金(136手目)と打ったところで自玉が安泰になって勝ちになったかなと思いました。
――これで女王6連覇となった。
西山 奨励会時代から保持していて思い入れのあるタイトルなので、また1年タイトルを預かれることを光栄に思います。今回、尊敬している甲斐さんと番勝負ができたことが自分にとって今後の糧になると思います。
■甲斐智美女流五段
――駒組みが終わったあたりの感触は。
甲斐 ▲7七桂(53手目)~▲8九飛(55手目)と動いていったんですけど、端が薄くなるので、もうちょっと手になるかなと期待して指していたんですが、思ったほど攻め筋がなかったと感じました。桂から飛車はあまりよくなかったのかなと思って指していました。▲2六角(57手目)は飛車回りを受ける手なので、駒組みとしては失敗だと思っていました。
――▲9五桂(75手目)の手応えは。
甲斐 辛抱するのも考えはしたんですけど自信が持てなくて、少し勝負手という感じで指したんですが、△8七角(86手目)がぴったりした手だったので負けかなと思っていました。
――難しくなったところもあったと思う。終盤はどうだったか。
甲斐 一瞬、玉が堅くなって粘りが利く形になって好転したのかなと思ったんですけど、馬を切った手は詰みかと錯覚して、最後もひどい錯覚をしてしまって、悪手が続いてしまったかなと思います。
――マイナビ女子オープンに対する思いについて。
甲斐 初タイトルを獲得できた棋戦で、引退を決めてから対局させていただけたので、光栄と感じました。西山女王と番勝負で一局一局学ぶことがいっぱいあって、すごくよかったなと思います。
(文)