みんな知りたい「雁木」のヒミツ 稲葉八段が詳しく解説!『新型雁木のすべて』|将棋情報局

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みんな知りたい「雁木」のヒミツ 稲葉八段が詳しく解説!『新型雁木のすべて』

話題沸騰中! 稲葉陽八段による「雁木」の本、近日発売です!

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中

皆様こんにちは。人生で最初に見たNHK将棋講座、講師は内藤國雄先生だった将棋情報局藤井です。年齢がばれますね。暑いですね。内藤先生の横にいたのは確か中瀬奈津子さんでしたね。暑いですね。

 

今日は、新刊案内です!

さきほど、このサイト・将棋情報局でしょっちゅう「あちょ~~~」「あちょ~~~」叫んでいる書籍編集長・島田からこれを渡されまして・・・

知ってます知ってます! 話題沸騰中の「稲葉陽八段の雁木本」ですね!

して、これをどうしろと???

 

島田曰く・・・

今日のところは俺の代わりに叫んでおいてくれ、と・・・

アツく「あちょ~~~」と叫んでくれ、と・・・

 

・・・

・・・・・・

どうやら叫び過ぎて声が出ないらしい。

仕方ないな。芸風違うのですが、ひと肌脱ぎましょうか。

おまけ 島田が「あちょ~」と叫んだ記事一覧 40もありました・・・

 

 

いまアマチュアが(プロも???)もっとも知りたい戦法である雁木を、A級棋士・稲葉八段が解説するこの書籍。

まずは章立てをご覧ください。

戦法解説の部分は出だしの違いで分ける、名付けて「出だし分け」。

 

角換わりの出だしから後手が△4四歩と突く「角換わりからの雁木」

 

横歩取りの出だしから先手が▲6六歩と突く「横歩取り拒否からの雁木」

 

後手が角道を止め、振り飛車と見せてから雁木に組む「後手振り飛車模様からの雁木」

の3つに分かれています。

 

実戦編は大ボリュームの10局、稲葉八段が公式戦で指した雁木の将棋が解説付きで掲載されています。

ちょっと珍しいなと思ったのは、10局中4局が稲葉八段の敗局であること。

「アマチュアのお手本としてふさわしいのは、自分の敗局でもこれだ!」

と選んでくださったのでしょうか。男気を感じるチョイスです。

名付けて「男気チョイス」の実戦編です。

 

 

ここからは、私が本書を読んで個人的に一番驚いた、島田の言うところの「あちょ~」な手順を含んだ部分をご覧いただきます。

第1図が始まりの図。

 

【第1図は△4二金右まで】

「第1章 角換わりからの雁木 第3節 相雁木―相腰掛け銀」より、△4二金右まで先後同形となった局面です。

ここから、先手はどう攻めればよいでしょうか。

 

第1図からの指し手
▲4五歩 △同 歩 ▲7五歩(第2図)

 

解説には、

「(▲4五歩△同歩に)▲同桂は△4四角がある」とあります。

以下▲7四歩△8四飛▲1五歩と攻めても堂々と△7五歩(参考1図)と取られて、▲1四歩にはちょうど後手が2歩もっているので△1八歩~△1七歩で香を取られてしまい、これは失敗。ということで、4筋に次いで7筋も突き捨てるのが正解です。

 

【参考1図は△7五歩まで】
【第2図は▲7五歩まで】

 

第2図からの指し手
△8四飛 ▲1五歩 △同 歩 ▲4五桂
(第3図)

 

▲7五歩に△同歩と取った実戦例もあるそうですが、これは先手よし。後手は△8四飛と受けます。先手は攻めの手を休めてはいけません。▲1五歩△同歩▲4五桂と攻め掛かります。

角換わりの木村定跡で歩を突く順番を覚える呪文に「世に伊奈さん」(4→2→1→7→3筋の順で突く)というものがありますが、相雁木では・・・

「竹刀の法則」(4→7→1)

と覚えると良いかもしれません。

 

【第3図は▲4五桂まで】

 

第3図からの指し手
△2二角 ▲1三歩 △同 香 ▲7四歩
△同 飛 ▲1四歩 △7六歩 ▲1三歩成
△同 桂 ▲8八角(第4図)

 

少し長く進めてしまいましたが、激しい攻め合いです。

7筋、1筋の歩突きを入れずにいきなりの▲4五桂は失敗でしたが、歩付きが入った第3図での△4四角は、▲1三歩△同香▲7四歩△同飛▲1四歩△同香▲2四歩△同歩▲同飛(参考2図)で、香取りが受からず先手が良くなります。

 

【参考2図は▲2四飛まで】
【第4図は▲8八角まで】

 

第4図からの指し手
△4五銀 ▲同 銀 △8六歩 ▲2四歩
△同 歩 ▲8六歩 △8七歩(第5図)

 

香を損してゆっくりしていられない後手は銀で桂を食いちぎって激しく先手陣に攻め掛かります。そして図の△8七歩が期待の一手。もし▲同金と取れば△7五桂が待っています。急所に手を付けられた先手が困ったように見えますが・・・

 

【第5図は△8七歩まで】

 

第5図からの指し手
▲4四歩(第6図)

 

【第6図は▲4四歩まで】

 

あっ、あっ、あっ・・・・

 

あちょ~~~!

歩でかけられた角取り放置のあちょ~~~!

しかも角を取られた手が王手になる角取り放置のあちょ~~~!

角なんていらねえよ、夏。のあちょ~~~~~~!

おまけ 飛車なんていらねえよ、冬。

 

何と何と! 角取りを相手にせず攻め合うこの▲4四歩があって先手有利の局面となるそうです!

具体的にいいますと、▲4四歩に対して後手は△8八歩成▲同玉と一旦は角を取るのですが、続いて△4四銀と手を戻すと▲3四銀とすり込まれ、▲2三歩や▲4三歩があって先手の攻めが続く形になってしまうのです。

角は取れるけれど急所の銀取りを回避できない・・・

そう悟った後手は攻め合いを目指しますが・・・

 

第6図以下の指し手
△8八歩成▲同 玉 △8七歩 ▲同 金
△7五桂 ▲7六銀 △8七桂成▲同 玉
△7五歩 ▲6三銀 △8四飛 ▲7五銀
(結果図)

 

【結果図は▲4四歩まで】

 

結果図、手厚い陣形となった先手が有利になりました。

 

 

この手順の詳しい解説、また冒頭で紹介しました他章は本書でご覧ください。

暑い毎日ですが、涼しい部屋で本書を読んで、いちばんアツい戦法をいち早く自分のものにしてしまいましょう。

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著者

藤井草平(著者)