『藤井聡太全局集 平成28・29年度版』重要対局詳解編を3日連続で一部公開 その1|将棋情報局

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『藤井聡太全局集 平成28・29年度版』重要対局詳解編を3日連続で一部公開 その1

『藤井聡太全局集 平成28・29年度版』の内容を3日連続で一部公開いたします。〈その1〉は「重要対局詳解編」より、デビュー局の対加藤一二三九段戦、その冒頭を紹介いたします。

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『藤井聡太全局集 平成28・29年度版 愛蔵版』の予約が始まっています。

本日から3日間にわたり、その内容を一部公開いたします。

まずは、全59局から12局を厳選・詳解した「重要対局詳解編」より、デビュー戦の対加藤一二三九段戦、その冒頭を紹介します。

第1局 加藤一二三九段対藤井聡太四段戦
デビュー戦、伝説のひふみんを倒す

第30期竜王戦ランキング6組(読売)
平成28年12月24日 終了20時43分
東京都渋谷区「将棋会館」
持ち時間各5時間

奇跡の対局

 囲碁は百年をつなぐ。これは囲碁棋士、(故)橋本宇太郎九段の名文句である。
 大正時代、9歳で碁を覚えた橋本は10代でプロ棋士になったのち70年以上現役生活を続けた。69歳でタイトル戦七番勝負に登場し、72歳で名人リーグ入り。そして、87歳で亡くなるまで第一線の現役棋士として活躍した。
 10代、20代の頃は明治の長老と戦い、80歳を過ぎてからは自分より60以上若い後輩たちと戦った。百年どころか、百2、30年の時をつないだことになる。
 将棋は囲碁に比べれば選手寿命の短いゲームだが、よく似た例はある。
 1923年(大正12年)生まれの(故)大山康晴十五世名人は10代の頃、あの阪田三吉の対局の記録係を務め、60歳を過ぎた晩年は自分より50歳近く年下の羽生善治や屋敷伸之と対戦した。
 そして、今、本当に百年の時をつないだ棋士が将棋界にも現れたのだ。現役最年長棋士の加藤一二三九段(2017年引退)と現役最年少棋士の藤井聡太四段の対戦。これはなんという対局か。
 この時、76歳の加藤は1897年生まれの(故)村上真一八段との対戦経験がある。そして、本局の藤井は2002年生まれ。つまり、加藤は19世紀生まれの棋士と21世紀生まれの棋士の両方と指した初めての棋士になったのである。
 ご存じのように、加藤は70歳を過ぎてからテレビ界に進出し、「伝説の棋士・ひふみん」として人気を博している。そして、そのひふみんが持つ最年少棋士記録を52年ぶりに更新したのが藤井である。その藤井のデビュー戦が本局。さまざまな偶然と思惑が重なり、この奇跡的なカードが実現した。
 2016年クリスマスの対局。最初の注目は「藤井が何をやるか」だったが、戦型はオーソドックスな矢倉になった。藤井は、「相手が(矢倉で有名な)加藤先生だから、矢倉で教わりたいと思いました」と言っている。

62歳差の2人による熱戦の様子はぜひ書籍でご覧ください。

 

『藤井聡太全局集』ご予約はこちらからどうぞ。

明日、明後日はデビュー8戦目、対大橋貴洸四段戦をダイジェストで紹介します。

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