竜王戦ランキング戦のしくみと、藤井聡太六段連続昇級&七段昇段の条件|将棋情報局

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竜王戦ランキング戦のしくみと、藤井聡太六段連続昇級&七段昇段の条件

1回負けても終わりじゃない竜王戦ランキング戦のしくみをわかりやすく解説。そして藤井聡太六段の昇級条件とは???

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本日4月10日、藤井聡太六段が竜王戦ランキング戦5組で阿部光瑠六段と対局しています。

昇級&七段昇段への足がかりとなる対局とあって注目度も高く、将棋連盟ライブ中継のほか、ニコニコ生放送AbemaTVでも中継されています。

さて、今日は竜王戦ランキング戦についてのお話です。

竜王戦は毎期、まず全棋士(※)が1組から6組までの6ランクに分かれてトーナメントを行い、そこで好成績を挙げた棋士が本戦トーナメントに出場します。

※それに加えて、6組には女流棋士、奨励会員、アマチュアの出場枠があります。

また、本戦に出られないまでも、定められた順位以内に入れば次期ひとつ上のランクに昇級、逆に成績が悪ければ降級します。

各組の原則的な定員、本戦出場者数、昇降級者数は下表の通りです。

 

定員 本戦出場 昇級 降級
16
16
16
32
32
1組~5組以外
(今期は59)

 

ランキング戦が終わると、各組を勝ち抜いた本戦出場者11人により竜王(現在は羽生善治竜王)への挑戦権を争うトーナメントが行われます。

1回負けても昇級の可能性がある

竜王戦ランキング戦の大きな特徴として、トーナメントなのに「1回負けても終わりではない」という点が挙げられます。

藤井六段が出場している5組を例に説明します。ランキング戦5組のトーナメント表は以下のようになっています。

よく見る32人トーナメントですが、各対局にアルファベットが付いています。これは何なのかと申しますと、その対局で負けた棋士は・・・

はい。もうひとつのトーナメント「昇級者決定戦」の該当するアルファベットのところに入ることになっているのです。この「昇級者決定戦」で一番上まで勝ち上がった棋士2人は3位となり、ひとつ上のランクに昇級できます。ランキング戦の上のほうで負けた棋士ほど、昇級者決定戦で有利な位置に入る仕組みになっています。

ちなみに、昇級のない1組もやはり1回負けただけでは終わらず、1回戦負け8人、2回戦負け4人、3回戦(準決勝)負け2人によりトーナメントを行い、勝ち残ると本戦に出場できます。

藤井聡太六段 昇級の可能性

今期のランキング戦5組で、現在3回戦まで勝ち進んでいる藤井六段が昇級(プラス、連続昇級による七段昇段)するのは、今日の対局を含め、

①勝って勝つ!
②勝って負けて勝つ!
③負けて勝って勝って勝つ!

の3パターンが考えられます。

現在のトーナメント勝ち上がり図は以下となります。

ここから・・・

①勝って勝つ!

いちばんすんなり決まり、かつ決勝も勝てば2期連続での本戦出場となる一番のゴールデンパターンです。

昨年度、ランキング戦5組準決勝が行われたのは4月下旬~5月上旬。

②勝って負けて勝つ!

勝って・・・

負けて・・・

勝つ!

2勝でなくても、その手前、1回勝つだけでも実はだいぶ視界が開けます。例え次戦の準決勝で敗れても、昇級者決定戦の枠はスーパーシードの「n」で、1勝すれば昇級なのです。

昨年度、5組昇級者決定戦決勝(3位決定戦)が行われたのは11月中旬~11月下旬。

③負けて勝って勝って勝つ!

負けて・・・

勝って勝って勝つ!

一番のピンチパターン。最初で敗れてしまうと、3位までは若干長い道のりの残る「l」枠に入り、昇級には3連勝が必要となります。

この場合も②と同じく、昇級&昇段は11月ごろとなりそうです。

 

 

上の条件をご覧いただければわかる通り、藤井六段のランキング戦4組昇級&七段昇段は本日の対局がが大きなカギとなっています。負けてしまうと、結果的に昇級&昇段できたとしても、6月と11月の差がありますから出世が半年遅れる計算です。

まあ半年遅れたとしても、全体的に見れば驚異的なスピードであることに変わりがないのですが・・・

さてどうなるでしょうか。終局は本日夜の見込みです。

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