『1手の重み』 高見泰地 四段昇段の記~将棋世界2011年11月号より|将棋情報局

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『1手の重み』 高見泰地 四段昇段の記~将棋世界2011年11月号より

将棋世界バックナンバーから厳選した記事を掲載する当コーナー。第11回と第12回は、第3期叡王戦で決勝七番勝負へ進んだ金井恒太六段、高見泰地六段がそれぞれプロ入りを決めた際の四段昇段記をお送りします。

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『1手の重み』

 小6の春に研修会から奨励会に仮入会し、6年半が過ぎた。振り返れば二段でこそ約1年半停滞してしまったが、ここまでプロになれないと思ったことはなかった。

 16歳で迎えた三段リーグ1期目、9勝9敗と自分自身の力不足を痛感したが、この期に同門の佐々木君が昇段したことはとてもいい刺激になった。

 2期目の前期、3番手で迎えた最終日。競争相手も崩れたため1勝していれば昇段だったのだが連敗、特に最終戦は最終盤でミスしてしまい、本当につらかった。これほど1手の重みを思い知らされた将棋はなく、その後は「もうプロになれないのではないか……」という悪いイメージばかりが頭をよぎって、次のリーグに気持ちを向けるのが大変だった。

 そして迎えた3期目。「絶対に上がる」と心に誓って臨んだ。自宅、学校、電車内、どこにいる時も将棋のことが頭を離れず、とにかく我武者羅(がむしゃら)に実戦や研究に打ち込んだ。

 プレッシャーで平常心を保つのがとても大変だったが、将棋の神様が見ていてくれたのだろうか? 16回戦終了時に12勝4敗、首位で最終日を迎えるという絶好の位置に立つことができた。

 最終日。前期は自らを緊張と不安で追い込んでしまったが、今期は(今日は自分が昇段する日になる)と暗示をかけ、気持ちに余裕をもって臨んだ。

 昇段が決まった瞬間こみ上げてくる感慨、お世話になったたくさんの方々の顔。とても暖かく、太陽のように見守ってくださった師匠。小学生のころからいつもいい方向に導いてくださった兄弟子の勝又先生。蒲田将棋クラブの皆さん。将棋サロン吉祥寺の席主の新井さん。どんな時も精一杯支えてくれた家族。応援してくださった全ての方々。本当にありがとうございました。

 将棋を覚えて12年。言うまでもないが自分一人でここまで来られたとは思っていない。特に三段リーグは半年間の長いマラソンのようだったが、応援してくださる方々の期待と声援がゴールまで後押ししてくれたと思っている。ありがとうございました。

 しかし、もちろんここがゴールではない、スタートラインだ。これからも努力を怠らず、一層精進し、活躍していきたいと思う。

 これからも応援よろしくお願いします。

~記事内プロフィール~

四段 高見泰地

平成5年7月12日生まれの18歳。神奈川県出身。平成17年4月、石田和雄九段門下で奨励会入会。得意戦法は矢倉、居飛車穴熊。

日本将棋連盟HP内
第49回奨励会三段リーグ戦 2011年4月~2011年9月

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著者

将棋世界編集部(著者)