2017.12.11
空中捕獲大作戦 衝撃手順の9手詰に絶賛の嵐
詰将棋書籍「信濃路」に掲載の100番の中から、第42番をご紹介します。
大技小技を駆使して広い玉を仕留める9手詰。「週刊将棋」2013年9月18日「新詰将棋探検隊」第12回からの抜粋記事です。
隊長 みなさんは玉の広さを意識したことはありますか?
隊員A どうしたんですか、急に。
隊員C いくらでもありますよ。詰まない玉を追いかけすぎて、安全地帯に逃げ込まれたりとか。
隊員B うんうん、よくある、それは。投了するとき結構悲しいよね。
隊長 私もよく…。いやいや、それは置いといて(笑)。今回は、一見広いように見える玉をうま~く捕獲する詰将棋を紹介します。
隊員A 空中捕獲術ですね。
隊長 おお、それタイトルにいただきました(笑)。
■遠隔操作の金
隊員C うわあ、入玉形だ。
隊員B 5六の飛車がある程度、玉を狭めているとはいえ、それでも逃げられそうな感じですね。
隊長 前局と同様に、玉を捕まえるには大駒の使い方が重要です。本局の場合、飛車の陰になっている3四の角を遊ばせたままにしてはいけません。
隊員A いつ、どこに飛車を開くかですね。
隊長 そういうこと。
赤羽 守作
▲7九桂△同銀不成(途中1図)
隊員B 初手▲9八金打△7八玉だと、▲5三飛成は△5六歩合で、また▲6六飛は△6七歩合で詰みません。初手▲7六角とするのも、△7八玉でうまく続きません。
隊長 そんなわけで、初手は「まずは桂を打ってみよ」の▲7九桂。
隊員C その格言、よく聞きますけどあてになるんですか?
隊長 割と当たってます。「とりあえずビール」みたいなもんです(笑)。
隊員C えー。なんだかなあ。
隊員A ▲7九桂に△7八玉は、▲5九飛△3四龍▲5六角以下。△7九同龍は、▲7六角△7八玉▲5八飛以下。角金の持駒を温存しているのが大きいんですね。
(途中1図以下の手順)
▲9八金△7八玉▲5九飛△3四龍(途中2図)
隊長 途中1図でどうするかが本局最大のポイント。
隊員B お、▲6九角はどうですか。△同龍なら▲9八金打△7八玉▲5八飛までです!
隊長 さすがと言いたいところだけど、▲6九角には△7八歩成とする手があって逃れです。正解は▲9八金! なんのヒモも付いてないタダ捨てです。
隊員C 出たーっ。▲9八金!
隊長 ▲9八金を△同玉と取るのは、▲9六飛と回る手があるのです。以下△9七桂合なら、▲7六角△8七歩合▲8九金まで。▲9六飛に△8七玉なら▲9七金~▲9八金です。
隊員A ▲9八金とはすごい手があるもんですね。
▲8九角△同 玉▲8八金打
まで9手詰
隊長 最後は▲8九角と捨てて▲8八金打まで。5九の飛車が間接的に役立っています。
隊員B さっきの▲9八金の衝撃がすごくて、まだ放心状態です。紛れもかなり強力でしたから。
隊長 本作は「9手詰コンクール」への発表でしたが、解答者からは絶賛の嵐で、堂々1位になりました。
隊員C 一度でいいから絶賛されてみたいもんですね。
隊長 それが作家の夢ですよ。
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