【人気連載第4回!】将棋ガールズ|将棋情報局

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【人気連載第4回!】将棋ガールズ

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 ここでは青山学院大学将棋部に所属する現役女子大生、多々納光さんによるエッセイを掲載します。毎週金曜日更新予定です。
今回は第4回分を掲載します。 
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将棋ガールズ

宮崎の高校選手権(その1)



高校に入学したての4月には、中等部から来た将棋の仲間たちと親しくならなかった私だが、毎年5月のゴールデンウィークに行われる全国高校将棋選手権の東京都予選には出場した。

申し込みの案内時期が4月までと早いこともあり、高等部には将棋部が無かったので情報を持っておらず、中等部出身の仲間たちは誰も参加できなかった。全国高等学校文化連盟の東京都将棋専門部から高等部へは案内状が届かなかったからだ。

私は棋友館に通い、兄が高校の将棋部からもらってきた募集要項を見ていたので、入学する前からたまたま高校選手権の予選・本選スケジュールを知っていた。

高文連は高校野球の高野連やインターハイの高体連より知名度は低いかもしれない。高文連に加盟していないと全国高等学校総合文化祭に出場できない県もあるそうだが、東京都は都内の高校生なら誰でも予選に出場できる。

中学では代表になれなかった私だけれど、高校では東京都女子個人戦予選で、都代表の女子の3人の枠に入り代表になれた。1位は二つ年上の棋友館仲間、幼なじみで女流アマ三冠の小野ゆかりさんだった。もちろん全国大会でも最初から優勝の最有力候補。

夏休みの高校総文祭(これは体育会系ではインターハイにあたる都道府県代表が集う全国大会)、高校選手権大会の将棋部門に私も出場できることになった。会場は各都道府県の持ち回りで、この年は宮崎県が担当だった。

宮崎県は囲碁将棋のみならず、オーケストラやマーチングバンドなどの音楽から、新聞や放送などのジャーナリズム部門など、文科系の幅広い分野の高校選手権を県内の各地で開催することになっていた。ところがこの年、大きなハプニングが起きた。夏になる直前に宮崎では口蹄疫が流行し、開催が危ぶまれる窮地に陥ってしまったのだ!東国原知事も大わらわ。宮崎和牛を襲った口蹄疫の収拾に向けて大忙しの宮崎県が、高校総文祭など開催できるのだろうか。それでも、準備期間のことを考えて、宮崎県は運営と主催を他の県に急きょ代理で依頼することはしなかった。

私はこの大きなイベントである高校選手権を開催してくれる宮崎県に感謝した。そして、ただの高校生には何もできないけれど、大勢で宮崎県に行って宮崎県を応援したいと考えた。な~んて、真面目に考えてる反面、やっぱり行ったことのない場所への遠征にはワクワクしていた。

暑い8月初旬の夏、宮崎での全国大会が始まった。宮崎空港でゆかりちゃんのお父さんがレンタカーを借りて、観光に連れて行ってくれた。将棋会場になっている日南市までのドライブの途中で、チキン南蛮と冷や汁というご当地グルメを食べた。



鶏の竜田揚げにタルタルソースというのは、こってり系ですごく合う!冷や汁はゴマと麦味噌の風味がきいた胡瓜がさわやかな冷たいいりこのお汁。初めて食べた。鬼の洗濯岩という洗濯板のような岩が連なる海岸線は初めて見る勇壮な景色だった。

鵜戸神宮(うどじんぐう)は海岸の断崖絶壁にある天然の岩がくりぬかれた場所にある神社で、私は大会での勝利を祈願した。





NHKの朝ドラ「わかば」のロケ地だった飫肥(おび)という城下町を歩いていると、小村寿太郎記念館が。この町の出身だったんだ~、知らなかった。

こんな話をしていると、ほとんど観光ばかりのように聞こえるかもしれない。でも高校選手権でいろんな地方に行けるのは、全国大会のまさに醍醐味。中学の全国大会は天童市という毎年決まった場所だけれど、高校選手権は国体と同じように各県持ち回りなので、毎年違う都道府県を訪問することになる。

主催県では現地の高校生も運営に携わる。全国の高校生を迎える主催者側の準備も大変な作業に違いない。参加者の高校生も初めて訪れる土地を知って交流することで、日本全国に愛着を感じるようになることは素晴らしいんじゃないかなとこのシステムには感心してしまう。ちなみにこの年、体育会系のインターハイ(全国高校総合体育大会)は沖縄県で開催された。そっちもいいなo(^-^)o


※宮崎県大会のパンプレット

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