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将棋入門 出張版[その2]「8種類の駒の価値」「飛び込んでいいのは?」

駒の動かし方とルールを知っている初心者の方にもっと将棋を楽しんでいただくため、指し方のコツを覚えていただきます。

8種類の駒の価値

駒を並べて対局が始まったら、まずは力の強い飛、角を働かせることが大切とお話しました。

ここで、大事なことをもうひとつ。

力の強い駒、それすなわち「価値の高い駒」と考えることができます。将棋は8種類の駒を使いますが、それぞれ性能が異なるため価値に差があります。一般的に三輪車より自転車が、自転車よりオートバイが高価なのと同じことです。上達するためには必要不可欠な知識ですので、ここで覚えていただきましょう。

まず、「玉」(王)について。これは取られたら負けになる、自分の駒の中で一番大事な駒。その次に価値が高いのが力の強い「飛」、「角」。次が周りの8マスのうちナナメ下以外の6マスに動ける「金」と、横、真後ろ以外の5マスに動ける「銀」。特殊な動きの「桂」と前にいくつでも進める「香」が次。前に1つしか動けない「歩」が一番価値の低い駒となっています。→駒の動きのおさらいは>>こちら<<

先ほどの乗り物に例えるなら、飛、角が高級リムジン、金、銀が普通乗用車、桂、香がオートバイ、歩が自転車、と言ったところでしょうか。

駒の価値を高>>>低で並べると、こうなります。

このことを念頭に置いて指し進めるだけで、かなり将棋が本格的なものになることでしょう。

飛び込んでいいのは?

中断失敬。では、対局に戻るといたしましょう。

そうですその調子。とても良い指し手が続いています。

この局面は私の飛、角よりも、あなたの飛、角のほうが働きが良さそうです。エクセレント!

それでは、私の手番。いつまでも素通しの飛に陣地をにらまれているのは気持ちが悪いものですから、ここは、こうしましょう。

 

 

さあ、あなたの手番です。念のため申し上げますが、飛を動かす手以外は私が打った歩に大切な飛を取られてしまいますよ。

 

 

おや。

確かに飛は移動させましたが、これはこれで私の金で竜(飛の裏)をいただくことができますが、本当によろしいのでしょうか。

 

 

 

ふむ。つい攻めたくなった? 金が守りに利いていることに気づかなかった? と。

そうでしょうそうでしょう!

この地点は私の駒、金の守りがあるため、飛び込めない地点だったのです。

駒台(取った駒を置く台)を見ても、あなたが歩2枚、私が飛。あなたの歩2枚のうち1枚は、もともとあなたの駒でしたね。リムジンと自転車の交換では割の合わない取り引きでございましょう。

◇失敗のおさらい◇

 

あとで元通りにするとして、局面を少し細工してみましょう。

違いは、私が動かす金を変えただけ。さっきとは反対側の金を動かしています。あとの駒は全部同じです。

この場合は、どうでしょうか。仮に先ほどと同じように飛び込んでみると???

 

 

これは、私のほうが取り返す手段がありませんね。守っていない場所に飛び込まれてしまいました。

歩を取りながら飛を私の陣地に侵入させ、飛より強力な竜にすることができました。あなたの攻めが大成功した形と言えましょう。

細工したついでに少し指し手をさかのぼってみます。対局の出だし、こんな局面がありました。

 

ここで角を私の陣地に飛び込むのはどうでしょうか。

 

 

これは、私の角や桂で取り返される地点。守られている地点です。このように・・・

 

 

大切な角を取られてしまい、攻めは失敗ですね。

 

もう一問だけ、例題を。角道を開ける手が良い手なのは説明しましたが、実はこんな角道の開け方もございまして・・・

角の動ける場所が1つできただけですので、角がいきなり敵陣に直射する、最初におすすめした角道の開け方と比べあまり良い手とは言い難いのですが、もう少し指し手を進めて・・・

 

 

さあこの局面です。今度はどうでしょう。盤の端にいる角で、私の陣地に飛び込めますか?

 

 

これは、守りのない地点。自信を持って飛び込んで構いません。歩を取りながら角より強力な馬を作って、あなたの攻めが成功しました。

 

ある地点に飛び込めるかどうか。攻め込めるかどうか。それはずばり、

相手の守りがあるかどうか

で決まります。攻めは、やみくもに「行けるから、その地点に進めるから」というだけで飛び込んでも、なかなかうまくいかないものなのです。

中には「角でも飛でもくれてやる!」というような、たいそう気前の良い方もいらっしゃいます。しかしお考えください。飛や角はもともと自分が1枚、相手が1枚ずつ持っていますが、自分のものが一方的に相手に渡ると、相手が2枚持っているのに対し、自分が0枚になってしまいます。2枚対0枚。戦力にそれはそれは大きな差がついてしまうのです。

例えるなら、リムジン2台vs徒歩! まさにトホホな状況・・・

おっと失礼。両方を足して合計4枚ある金、銀、桂、香なら一方的に相手に渡ると3枚対1枚、18枚ある歩なら10枚対8枚・・・歩の場合はそれほど大きな戦力差にはなりませんが、どんな駒でも「一方的に相手に渡す」ような指し手は、できる限り避けたいところでございます。同様に、リムジンと自転車のような「自分の価値の高い駒と、相手の価値の低い駒との交換」も大きな戦力ダウンになってしまいますので、ご注意を。

今はまだ自分の駒、相手の駒、双方の利きに目を配って指し進めるのは難しいかも知れません。気持ちよく攻めているつもりが、大切な駒をタダで取られてしまった! ということも多いでしょう。

でも大丈夫。

上手になれば、自分の駒を渡さずに効率よく攻めたり、もっと上手になれば「自分のこの駒を渡す代わりに相手のあの駒をいただく」「相手の守りが1つなら自分は攻める駒を2枚にしてみる」「自分はたくさん駒を渡してしまうけれど、何と何と! こちらは相手の玉をいただく!」という高度な考えで攻めを組み立てることができるようになります。

 ☆ブーハー伯爵のワンポイント☆

相手の陣地に攻め込む時は、相手の駒が守っているかどうかに注意!

価値の高い駒を相手に渡さないように攻めよう。

☆ あなたとブーハー伯爵の対局、次回からは中盤戦!
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