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大手メーカー参入。多チャネル展開。日本ECでは史上最大の地殻変動が起きる! ②2020年へのトレンド予測

10兆円規模となり、競争が激しくなっているEC市場。小売市場が伸び悩む中、新規顧客の接点の場として多くの企業が注目している業界です。
国内外問わず、業種関係なく、様々な企業が参加する市場は常に変化しています。

今回は日本EC市場、2020年にかけての予測をご紹介いたします。
EC業界を知っておきたい方、本格参入される方、既存のEC事業を加速させたい方におススメの内容です。

本記事は『EC戦略ナビ ~成長市場の「いま」と「これから」がわかる!』から『ECゲンバ最前線レポート』の『ECの現場視察レポート日本編』の抜粋です。
2020年に向けての想定とトレンド予測についてまとめております。

2018年~2020年に注目すべき3つのキーワード

現在、大手企業の全売上に占める比率はわずか5%前後ですが、2020年くらいをターゲットに企業売上に占めるECの売上比率は、全体の10~15%にまで引き上げられると予測されています(図1)。

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この予測を踏まえて、2018年~2020年に重要となる3つのキーワードを提言します。
①自社ブランドサイト・モールの多チャネル展開
②ECバックヤードの自動化
③グローバル展開の模索
この3つのキーワードに沿って、ECを成長させる上での8つのポイントを解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

EC事業で売上と利益を増やすための8つのキーワード

❶次世代型ブランドECサイトの台頭

従来の店舗在庫とEC在庫・顧客情報の連携を実現してきた企業が、さらなるEC比率アップのために自社ブランドサイトの見直しを図る動きが活発になるでしょう。ブランドECで意識しているのは、日本のEC市場において成長著しく消費者の利用も多いアマゾンやZOZOTOWNが持つような『買い物体験の高い基準』です。それを超えるため、様々な機能を全て盛り込んだ新しいモデルに切り替えようとしています。
様々な機能とは、これまで行ってきたような店舗在庫・顧客連動はもちろん

・ソーシャル連携や動画の活用
・AI機能を持ったスマホに最適化した検索・接客機能
・個別データに対応したレコメンドツールの導入
・リピートを増やす最新のCRMツールとの連携
・注文から商品が届くまでの速さや満足度

などが挙げられます。より分散化する顧客の流入経路に対応して、効果的にファン作りやリピート施策が行えるような次世代型のモデルに切り替える流れが活発になるでしょう。特にアパレル系企業がこれらの機能を先行的に実装することで、次世代のブランドECサイトモデルの標準を作っていくでしょう。

❷主要モールでのシェアアップ

日本のECの中で半分を占めるほどになった「モール」を全部活用して、更に売上を伸ばしシェアを高めようとする動きが活発になります。既に3兆円規模の楽天市場と、それに追随するアマゾン、ソフトバンク連携で高成長を維持するYahoo!ショッピングという主要モール全てに出店するだけでなく、それぞれのモール内での販促手段も最大限に活用してシェアを高める動きが活発化するでしょう。
特にメーカー系企業やPB商品を持つ企業が、集客力の高いモールで商品を消費者に売る「モールのD to Cモデル」が増え、多くのユーザーが購入の参考にする「モール内のレビュー」を大量に持つための取り組みも重要視されるでしょう。

❸高成長モール活用の動きが活発化

ファッションでは既に3000億規模のZOZOTOWN、KDDIと連携したWowma!( ワウマ)、eBayとの合併で注目を集めるQoo10、リクルートが運営に関わるポンパレモールといった、それぞれのモールが莫大な販促費やポイント連携で集客に力を入れる中で、前年比30%以上の成長率を狙う成長モールも活用する動きが活発になるでしょう。
前項に書いたように、主要モールを含めて成長モール全てに出店し、それぞれの客層でプラスの売上を出すといった活用が広がっていくと見られています。

❹メーカー企業の参入、老舗企業の自社ブランドサイトリニューアル

若年層の新規獲得や消費者の変化に合わせて、本格的にEC比率向上と顧客接点増加を狙って、これまでほとんど直接販売を行ってこなかったような大手メーカーや、地方の老舗企業・カタログ中心の販売形態をとってきたような企業が、自社ブランドサイトのリニューアルを行う動きが活発になるでしょう。
これらの企業はEC業務に精通した人材や体制が整っていないことが多いため、資本を投下して外部の力を借りながらEC比率を一気に伸ばそうとすると予測されます。

❺大手企業による中国ECの活用が加速

気軽に始める中国への「越境EC」モデルは、一時ブームとなりましたが、現在は影を潜めており、日本の中小企業が中国への越境ECで売上を大きく伸ばすのは難しい状況となっています。
その一方で、大手メーカー系企業にとって、100兆円規模を超えている中国EC市場は外せないマーケットとなっています。
大手企業を中心に中国の巨大なプラットフォームであるアリババの「タオバオ」「天猫」と京東集団の「JD.com」を活用しながら、越境モデルと中国に現地法人を置いて販売するモデルを併用しながら売上を伸ばそうとする動きが活発になってきます。
また、堅調に増える訪日客に、帰国してからリピート購入してもらえるための取り組みも行っています。中国で10億人が利用するメッセージアプリ『WeChat』が提供するミニプログラム(ブログ機能)を使い独自に中国消費者のファンを獲得してECを行う企業も出てきていて、5年後を見据えた中国EC市場参入が主流になってくるでしょう。

❻台湾・ASEANへの越境EC本格化

台湾のEC市場は、日本の4分の1程度の約2兆5000億円程度と推計されます。台湾は日本から近く親日国としても知られており、既に実店舗進出も増えている中、台湾に対して自社ECを中心に日本流のリピートモデルを導入して本格参入する動きが続くことが予想されます。
台湾には、Facebook・LINE・Googleが提供する広告もあり、費用対効果も安定していることから、まずは台湾を攻め、その後にASEAN諸国を狙う動きが見られています。ただASEANに関してはEC市場規模自体は小さく、国によってEC関連の決済や物流などインフラにばらつきがあることから、EC本格参入は数年後を目標として、まずは、実店舗での販売拡大を先行させて認知度を高める動きが優勢となっています。

❼ECバックヤードの自動化

すでに日本のEC売上上位400社の戦略を見ると、自社ECサイトとモールを含めて複数チャネルを展開する企業が70%程度となっており、複数のチャネルを展開する「EC多チャネル運営」を効率化するためのEC業務の後方業務の効率化が利益を増やす上で重要テーマとなっています。
各チャネルで業務を見直し、できるだけ人が介在しない「自動化」の比率を高める動きが活発になっています。送料値上げの流れもあり、注文を受けてから出荷までの、配送業者にバトンタッチするまでの業務を、いかに人の手を使わずに自動化できるかがECで利益を出す重要なポイントになっています(図2)。

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アマゾンやヨドバシカメラの「自動化率」は、95%を超えていると言われていますので、最低でも自動化率80 %を超える取り組みが必要になってきます。
ただ、多くの企業にはこれまで築いてきた物流体制があって、効率化が簡単にはできないケースもあり、社内で対応することを諦めて、まるごと外部企業に委託するという動きも活発になっています。

❽EC人材の確保と人材育成(働き方改革)

成長率の高さから多くの企業でECを重要な販売チャネルと捉える中、ECに精通して業務全体をマネジメントしたり、売上を伸ばすための戦略を立てられるようなEC人材が不足しているのが実態です。大手の場合、他の部署から異動して人材を補強するケースもありますが、「働き方改革」の動きもあり、ECに関連したマーケティングノウハウの習得や実務を理解する時間が不足する傾向が続いており、ECのプロの育成が急務な状況です。また、ECのプロ育成中にも安定的に運用が委託できるような外部の企業や、自社ECサイト、楽天市場、アマゾンなどに特化した売上アップ支援サービスを活用する動きも活発になってくるでしょう。

 

以上が、日本のECにおけるキーワードとポイントになりますが、冒頭でも述べたように、日本の小売りに関わる全ての企業が「ECに直接関わり」、小売市場が横ばいの日本市場においてグローバル展開する企業も含めて「ECで新規の顧客を奪い合う」という状況が顕在化する「地殻変動」に対応して勝者になるための戦略見直しが必要になるでしょう。

 

EC戦略ナビ ~成長市場の「いま」と「これから」がわかる!』での『ECの現場視察レポート日本編』からご紹介させていただきました。
また本書の現場視察レポートは日本の2年先を行くといわれる「アメリカ編」や政界一のEC市場である「中国編」、進出が急増する「台湾編」、成長市場である「ベトナム編」、ブルーオーシャンのロシア編がございます。
他にも「EC業界解説&売上ランキング」、「業界サービスマップ」、「主要サイトの仕掛け解読」、「商材別売上アップのコツ」など、EC業界を知っておきたい方、EC業界に本格参入する方、既存のEC事業を加速させたい方に、役立つ情報を集めております。

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著者プロフィール

株式会社いつも.(著者)