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大手メーカー参入。多チャネル展開。日本ECでは史上最大の地殻変動が起きる! ①EC市場の現状

10兆円規模となり、競争が激しくなっているEC市場。小売市場が伸び悩む中、新規顧客の接点の場として多くの企業が注目している業界です。
国内外問わず、業種関係なく、様々な企業が参加する市場は常に変化しています。

今回は日本EC市場の動向と2020年にかけての予測をご紹介いたします。
EC業界を知っておきたい方、本格参入される方、既存のEC事業を加速させたい方におススメの内容です。

本記事は『EC戦略ナビ ~成長市場の「いま」と「これから」がわかる!』から『ECゲンバ最前線レポート』の『ECの現場視察レポート日本編』の抜粋です。
日本EC市場の現状についてまとめております。

ECに取り組まないと売上が落ちる時代に

日本の2018年EC市場は、経産省の調査データをベースに推測すると、物販系は約9兆円~10兆円規模と推測でき、前年比7%~8%程度の伸び率が見込まれています(図1)。

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同じく小売市場におけるECで購入されている比率の「EC化率」を見てみると、日本は5%~6%程度となり、すでに10%程度のアメリカや20%を超えている中国と比べても低い状況があり、ECそのものの伸びしろがある市場と言えるでしょう。

ECの市場規模は、すでに7兆円を割った百貨店売上を超え、11兆円市場となったコンビニ売上に迫る勢いで成長を続けています。人口減少時代の日本において、数少ない成長市場としてECの存在感はますます強くなっています。
また、8兆円を超えたEC市場の中でスマホ経由で消費される比率は35%となっていますが、楽天やアマゾンでのスマホ経由は60%を超える状況となっていることからも、ECの成長と並行してスマホ経由での売上が伸びていくことは確実で、20代~40代を中心としたスマホの利用時間が長いユーザーの取り込みも大きなテーマとなってきています(図2、3)。

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一方で、EC市場は10年前のような前年比15~20%といった高い成長率を誇る時代ではなくなっており、既に成長率が10%を切っていることも正しく理解しておく必要があります。成長率が低下する中で主要な小売企業はほぼECに参入しており、これまで本格参入をしてこなかったようなメーカー系企業の参入も相次ぐなど、ECをとりまく市場競争はさらに激しさを増しています。

大手企業の本格参入で「地殻変動」が起こる

成長率が鈍化傾向になり、競争も激化する状況を受けて、10年前のように「ECをやりさえすれば会社の売上が伸びる」と考えている経営者は減っています。
しかし、日本の小売市場全体を見渡すとEC抜きでは「顧客との接点の減少」と「会社全体の売上が減少」してしまうという危機感もあるため、競争が激化する中にあっても小売りの新店舗を抑制し、従来の販促費を見直してまで、ECへの投資を増やしている企業は多くなっています。
もはやECを始めればその分売上が上がるという時代ではなく、「ECに力を入れないと売上が落ちる時代」に対応するために、ECという手段を手放すことができない新たな小売の時代が始まろうとしています。
このような流れを受けて2018年から2020年にかけての大きなトレンドとして予測されているのが、大手企業によるメーカEC直販の動きです。世界を相手に商品を販売するようなメーカー系の大手企業や、自社が手掛ける工場を持ちPB商品を大量に揃える大手企業が、ECに本格参入してきています。
この動きは、日本の商慣行として長年行われていた「卸機能」を通して販売するシステムや小売り企業が「メーカーから仕入れて、品揃えして販売する」というシステムが大きく崩れる状況を生んでいます。

ECのプロ同士の戦いに

日本のEC市場は、その始まりから20年以上が経つ市場であり、EC運営に慣れた「ECのプロが集まる」既存のEC企業に対して、大きな資本やブランド力を背景に外部のプロを活用して、EC市場に一気に攻め込んでくるという「ECのプロ同士の戦い」が始まっています。
そうなれば、限られた人材の中で「なんとなくネット通販をやっていれば売上が伸ばせる」「メーカーや卸から必要に応じて仕入れて販売する」と考えている企業は、思ったように売上を伸ばせない状況が顕著になっていくでしょう。
また、2020年にかけて以下に紹介するDtoCモデルAmazon(アマゾン)の影響は、全てのEC事業者にとって無視できないインパクトをもたらすと予測しています。
ここからは、2020年にかけて日本のEC市場の「地殻変動」を起こす要因になるトレンドについて予測も含めて説明します。

DtoCの台頭

競争激化を加速させる要因に一つとなっている大手メーカー系・ブランド保有企業は、従来通り卸を介して一般小売店舗から消費者に商品を届けるモデルを維持しつつも、ネット専用ブランドやPB商品を中心に、ECを活用して直接消費者に売るという「DtoC(Direct to Consumer)(D2C)モデル=メーカーEC直販」でECに参入する動きが活発になってきます。この動きは日本のEC市場において大きなインパクトを与えることは確実な情勢です。
既に「DtoCモデル」はアメリカ・中国で先行している世界的なトレンドでもあり、グローバル展開している大手メーカーはこのモデルのことを理解しています(図4)。

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そんな大手メーカーが、日本流の商慣行を意識しつつも、「DtoCモデル」でメーカー自ら若年層の開拓を行ったり、デジタルを通して顧客接点を増やす取り組みを始めるでしょう。そして、それらの事例が注目を集めて、グローバル展開する企業に追随する形で、日系の大手メーカー・PBを持つ企業も一斉にDtoCモデルへ投資を行ってくると予測しています。

アマゾンの活用

DtoC同様、アメリカ及び世界的に注目を集めているのが、アマゾンの成長に伴う影響をどう捉えて対処していくかです。アメリカではアマゾンのECシェアは2018年に50%程度になると見られており、アマゾン1社で米国総小売売上の5%を占めるなど、驚異的な成長を続けています。
このような世界的な状況を理解して、日本市場においてもアマゾンを顧客接点における重要なチャネルと捉える企業が増えています。日本のEC市場はNO.1シェアを持つ「楽天市場」が安定成長を続けていて、アメリカのようなアマゾンの寡占的な状況で起こる現象は、そのまま日本では起きないと思われます。
しかし、常に日本の2年先を行くアメリカでは、アマゾンへの安易な新規参入が苦戦を強いられるほどに競争が激しくなっています。日本のアマゾンも成長率が高いので、まだアメリカほどには競争状態に入っていないことを受けて、今のうちに日本のアマゾンに本格参入し、アマゾンを活用して新しい顧客との接点を増やしたり、優良なレビューを多く獲得しながらEC売上を伸ばそうという動きが活発になるでしょう。

 

EC戦略ナビ ~成長市場の「いま」と「これから」がわかる!』での『ECの現場視察レポート日本編』から、ご紹介させていただきました。
次回は『ECの現場視察レポート日本編』から2020年に向けての予想とトレンド予測についてご紹介いたします。

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著者プロフィール

株式会社いつも.(著者)