マナティ

マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて

第2回 分散はなぜ起こったのか?

ソーシャルメディアに造詣の深い5人の著者が「マストドン現象」を読み解く書籍『マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて』。第2章「マストドンによって蘇る体験」では、マストドンを前のめりに使ってみた肌感覚をコグレマサト氏が伝えています。今回はそのうち「分散はなぜ起こったのか?」を抜粋して紹介しましょう。

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 既に紹介済みの2017年4月10日にASCII.jpに掲載されたマストドンについての記事が、最初に僕が「マストドン」を知るきっかけとなりました。

※編集部注:書籍『マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて』の第1章「マストドンブームがやってきた」で紹介しています。

 直感的に「面白そうだ!」と感じたものの、出張中であったため、詳しくは試すことができませんでした。

 その後、出張から戻り落ち着いたタイミングで、大学院生のぬるかるさんがマストドンのインスタンスを立ち上げたという話をツイッターで目にします。これは試してみたい! すぐにアクセスし、アカウントを取得しました。

 ご紹介したように、マストドンはツイッターライクなユーザーインターフェースを持っています。これに関しては「今さら」とか「古い」と感じる人もいるかもしれませんが、慣れたデザインのおかげで、結果的に誰もが入り込みやすい、使いやすいものになっていたはずです。このおかげで、ツイッターをやったことがある人なら、誰でもマストドンはすんなりと使えるようになったのではないでしょうか。

 かくいう僕もその一人で、新サービスの初期に感じられる熱狂の渦に巻き込まれていくことになります。新しいサービスに飛びつく人たちが多いのですから、トゥートも多く、読んだり書いたり、そこにいるだけで楽しいのは言うまでもありません。しかし、これが完全にツイッターのクローンのようなサービスであったならば、人が増えていくに従って面白さも薄れていったことでしょう。

 マストドンの初期に感じた熱狂と、ツイッターの初期に感じた熱狂は非常によく似ていました。新しいサービスに取り憑かれた人たちが集う、興奮の坩堝です。おそらく多くの人が「理由はよくわからないけれど楽しい」という感情を抱いていたのではないでしょうか。

 特に最初期に集う人たちというのは似た顔ぶれのことが多いので、最初期には「ツイッター老人会」とも揶揄されたように、友人知人も多く、アイコンを見ただけで誰だかわかる、さながら同窓会のような様相も呈していました。

 ちょうどその頃に自身のブログ「ネタフル」に投稿していた記事を引用します。

 

「マストドン(Mastodon)」が日本でユーザーが急増して数日。それでもまだまだ界隈の一部の盛り上がりに過ぎませんが、10年前のツイッターの黎明期のスキモノたちが集って盛り上がっている様子が再現されていると思います。この道はいつか来た道。そのうち廃れてしまうのかもしれませんが、今は何かが起こりそうなワクワク感があり、その場にいるだけで楽しく感じられています。

当然のことながら「マストドン(Mastodon)」に批判的な意見もあろうことかと思います。特に10年以上前からネットをやっている人は「またか」と思うかもしれません。しかし、ツイッターの盛り上がりを知らなかった人たちが、このよくわからない熱に触れられるのも貴重な機会なのではと思います。数年来、こういうのなかったですからね。

「マストドン(Mastodon)」が今後、どうなっていくのかは、そこにいる人たちや開発者などたくさんの人の思い思惑が絡み合ってゴニョゴニョとしながら進んでいく先に待ち受けている何かがあるのかもしれませんが、とりあえず2007年のツイッターの初期の盛り上がりを体験した者として、ここ数日で感じた雑感のツイートをメモしておきます。

 

 マストドンが日本で急激にユーザーを増やしてから1カ月以上が経ちました。既に寂れたサービスとなっているのでしょうか?

 巨大なユーザーを抱えるインスタンスのユーザー数の伸びは初期ほどではないかもしれませんが、マストドン全体のユーザー数としてはじわりじわりと増えているのではないかと思います。

 

 「日本のマストドンインスタンスの一覧」を見ると、1000人クラスのユーザーを抱えたインスタンスがごろごろとあることがわかります。ここで重要になるのが、マストドンというものをどうやって捉えたらよいのか、という問題です。

 確かに初めてマストドンにログインした日は「ツイッターにクリソツ」だと思いました。しかし、ただ単にクリソツなだけだったら、おそらく「これはすぐにオワコンになるだろう」と感じたはずです。しかし、そうは思わなかった……なぜでしょうか?

 それが、マストドンのキーワードの一つにもなっている「分散」です。

 ここでは、マストドンのユーザーとして、そして実際にマストドンのインスタンスを立ち上げた立場から、マストドンについて解説します。特に自分で立ち上げた、または立ち上げに関わったインスタンスは非常に趣味性の高いもので、「マストドンに飽きてしまった」という人には、何かの参考になるのではないかと思います。

※編集部注:書籍『マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて』の第2章「分散はなぜ起こったのか?」を指しています。

著者プロフィール

コグレマサト(著者)
ブロガー。Apple・IT業界の動向から国内外の旅までなんでも書くブログ「ネタフル」を運営。カルガリー名誉市民、アルバータ州ソーシャルメディア観光大使。ブログ本など著書多数。オジ旅4号。