第1回 マストドンとツイッターの類似性|Tech Book Zone Manatee

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マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて

第1回 マストドンとツイッターの類似性

ソーシャルメディアに造詣の深い5人の著者が「マストドン現象」を読み解く書籍『マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて』。第1章「マストドンブームがやってきた」では、マストドンとはなにか、どのようにしてブームが起こったのかについて小林啓倫氏がまとめています。今回はそのうち「マストドンとツイッターの類似性」を抜粋して紹介します。

 まずはマストドンがどのようなSNSかを解説しましょう。先ほど「ツイッターに似ている」と書きましたが、実際にマストドンは、ツイッターによく似たサービスです。

※編集部注:書籍『マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて』の「マストドンとは何か」で触れています。

 ツイッターは「ツイート(Tweet、さえずるの意味)」と呼ばれる、最大140字の短いメッセージを投稿することで交流するSNSですが、マストドンでも「トゥート(Toot、ラッパなどを鳴らすの意味)」と呼ばれる、最大500字の短文を投稿することが基本となっています。トゥートではツイート同様、画像や動画の添付や、絵文字の使用も可能です。

 さらにこれもツイッターと同じですが、「フォロー」という概念があり、基本的にはフォローしているユーザー同士でトゥートをやり取りすることで、コミュニケーションが生まれます。

 ここで少しツイッターと違うのは、プライバシーに関する設定です。

 トゥートを投稿する際、そのトゥートをどこまで公開するかに応じて、次の四つのタイプを選ぶことができます。

 

(1)公開:公開制限はなく、誰でも閲覧可能(デフォルトではこの設定)

(2)未収載:誰も閲覧可能だが、後述するローカルタイムラインと連合タイムラインには表示されない(タイムラインとは、これも後述する「インスタンス」と呼ばれるものに属するユーザー全員の公開トゥートが表示される場所と考えてください)

(3)非公開:フォロワーの「ホーム」タブ(自分と自分がフォローしたユーザーの投稿が表示される欄)のみに表示される

(4)ダイレクト:指定したユーザーだけが閲覧可能

 

 さらにマストドンでは、個々のメッセージに細かい設定を行うことができます。

 たとえば「CW」という機能。これは「Content Warning(閲覧注意)」の略で、トゥートの一部を隠して表示する(全体を見るには「もっと見る」ボタンを押さなければならない)ことができます。たとえば話題の映画やテレビ番組のネタバレを含む投稿をする際に、核心部分を隠して表示することで、まだ見ていない人に配慮した投稿をしたりできるわけですね。

 また画像投稿の際には、「NSFW」設定を行うことができます。こちらは「Not Safe For Work(職場での閲覧には向かない)」の意味で、性的・暴力的な表現が含まれる画像を添付する際に、それが隠された状態でトゥートを投稿できるというもの。画像をアップロードしてから、NSFWを指定しておくと、それが表示される際に「閲覧注意」という文字が現れ、クリックしないと実際の画像が表示されないようになっています。

 ツイッターではツイート全体の公開・非公開と、特定ユーザーに向けたメッセージ(ダイレクトメッセージ)しか選べませんから、マストドンでは前述のプライバシー設定を含め、細かな設定が可能になっていることがわかるでしょう。どうやらマストドンは、よりユーザーのことを考えて作られているらしい―そんな風に感じてきたのではないでしょうか。

 さて、ツイッターでは、他人のツイートにさまざまな反応をすることができました。ツイートを引用したり(リツイート)、良い投稿だと評価したり(いいね)といった具合です。マストドンでも、これに似た機能があります。

 まずはリツイートに相当する「ブースト」です。ブーストしたトゥートは自分の公開タイムラインに表示され、オリジナルの投稿者をフォローしていない人も、そのトゥートの内容を見ることができます。ツイッターではリツイートがコンテンツの拡散に大きく貢献していますが、マストドンでは、このブーストが同じ役割を果たしています。

 またツイッターの「いいね」に相当する、「お気に入り」機能も用意されています。

著者プロフィール

小林啓倫(著者)
ライター・翻訳家。コンサルタントとして働く傍ら、先端テクノロジーと、それがもたらす企業・社会へのインパクトをテーマに執筆活動を行う。著書に『今こそ読みたいマクルーハン』(マイナビ出版)など多数。