サービス運営では、ユーザー登録をはじめ、ユーザーの継続利用やリテンションのための施策を担当し、サービス成長を加速させることを担当するチームがあります。ユーザー獲得チームまたはグロースハックチームなどと呼ばれます。本項では、サービスの成長を指標化したり、グロースハックチームの成果を指標化する方法の1 つ、成長指数と呼ばれる指標を紹介します。
成長指数
成長指数はユーザーのサービス利用に関する状態変化を数値化して、サービスが成長しているかを示す指標です。この成長指数が1以上の時はサービスが成長している状態を示し、0を下回るとサービスが衰退している状態を意味します。
下表に、サービスの成長指数を算出するために必要となる、サービス利用に関する状態変化のパターンを示します。
ユーザーのサービス登録からサービス退会までの利用状況から、成長指数を算出するため、どのように各指標を判定するかを下表に示します。
上記の判定結果を用いて、成長指数を下記の通りに計算します。
「利用するようになったユーザー」と「去っていったユーザー」を集計して、どちらのユーザーが多いのか数値化するものが成長指数です。利用を継続しているユーザーやずっと利用していないユーザー、当日に登録して当日に退会したユーザーは、成長指数の増減には影響しません。この成長指数を集計して、その推移を記録したものが冒頭に紹介した、前図です。
この通り、サービスの成長指数をシンプルに定義することで、マーケティング以外の担当者も理解可能になります。その結果、成長指数を改善するには、下記2点に注力すれば良いと考えるようになります。
1 SignupとReactivationを増やすことを考える。
2 Deactivationを下げることを考える。
成長指数を集計する
成長指数を算出する目的のユーザー状態として、新規登録したか(is_new)、退会したか(is_exit)、その日サービスにアクセスしたか(is_access)、前日にサービスにアクセスしたか(was_access)を、日別に判定するクエリを、下記のコード例に示します。
次のステップ 日別のユーザー状態が判定できたら、成長指数を計算するためのパターンを計算し、最終的な成長指数を計算します。下記コード例に、signupとreactivation、deactivation、exit、growth indexの各値を日次で計算するクエリを示します。
上記のコード例では、ユーザー状態から、signup、reactivation、deactivation、exitを判定して、日付ごとに各ユーザー数をカウントしています。ユーザー数をカウントする際、signupとreactivationは正の数、deactivationとexitは負の数としてカウントして、これらの値を合計したものが成長指数となります。
サービスローンチ時からの成長指数の推移
サービスの成長指数がローンチ時からどのように推移するのか、執筆陣の経験を元にまとめます。また、成長指数を向上させるために考えるべきポイントを紹介します。
サービスのローンチ直後は、事前に計画していたプレスリリースや集客施策に加え、新サービスを紹介するメディアに掲載されることなどによって、登録数が一気に伸びます(図①のタイミング)。しかし、しばらくすると8割ぐらいが非アクティブなユーザーとなるでしょう。
ローンチ直後の飛躍的な成長が一段落した時点で、どのような方法でどのようなユーザー層を獲得できるのか、そして、どのようにすれば継続利用を確保できるかを検討します(図②~③のタイミング)。
例えば、ローンチのタイミングに合わせて仕込んだメディアによるユーザー獲得などは、容易に考え付きますが、あくまでも一時的なカンフル剤の役目しか果たせず、成長を継続させるものではないケースが多々あります。
メディアによるユーザー獲得ではなく、サービス(プロダクト)を通じて、ユーザーを獲得し継続して利用してもらうことを重視することで、安定かつ継続した成長が見込めるようになります。継続的に施策を検討し、成長指数を成長させることが、チームにおける目標であると同時に成果となります。
ワンポイント
日常的な利用を期待するサービス(ニュースサイトやソーシャルゲームなど)、何らかの目的が発生した際に利用を期待するサービス(飲食店検索サービスやECサイト)では、利用頻度が異なります。成長指数を計算するために使用する指標の集計は、サービスの特性に応じて、日次や週次、月次などから適切な集計期間を選択しましょう。