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UX × Biz Book

第6回 「BtoB 企業のWebサイト」と「UX」

UXおよびUXデザインのビジネス価値を読み解く『UX × Biz Book ~顧客志向のビジネス・アプローチとしてのUXデザイン』。デジタル・マーケティングから顧客との関係構築、ブランディング、実装まで、それぞれ現場で活躍する執筆陣が、多面的・複合的な視点、切り口で分かりやすく解説しています。この連載では各章の読みどころを掲載していきます。第6回目はBtoBビジネスにおけるUXを解説するChapter6(執筆:橘 守)から、「6-2 『BtoB企業のWebサイト』と『UX』」を紹介します。

「BtoB企業のWebサイト」と「UX」は相性が良い

BtoC 企業のWebサイトで「UX」という言葉を聞く機会のほうが圧倒的に多いのですが、BtoB 企業こそ、特にWebサイトにおいては「UX」と向き合ったほうが良いと考えます。

BtoB 企業のWebサイトを訪れる訪問者の最大の特徴は「目的」をもって訪れるということです。いわゆる合目的的行動です。

その目的とは、事業課題を解決する方法の候補を探すことであったり、製品の性能向上のためのパーツやソリューションを探すことであったりします。当然ながらそれらの目的を達成するためには、複数の製品・サービスを探し、さらにそれを吟味し、稟議書に整理するまでの作業も含みます。

 

このようにターゲットの「目的」が容易に想像できるBtoB のほうが、ターゲットが不特定多数で目的が曖昧になりがちなBtoC よりも、「UX」と向き合いやすいのです。

 

BtoB企業のWebサイトの進化

図6-1のように、ネット初期の「街角の看板型サイト」の時代から時を経て「顧客の目的に合わせた使えるサイト」、「ブランディング、マーケティングを行うサイト」と進化しています。

このことから、進化している企業のWebサイトは顧客のUXに向き合ってきたといえるでしょう。

とはいえ残念ながら未だ、見てもらうためだけのWebサイトがインターネット上には多数あります。

顧客のUXに向き合ってきたWebサイトと、そうでないWebサイトでは、圧倒的に差が生じているといって差し支えないでしょう。

 

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図6-1 BtoB企業サイトの役割の変遷

(出典:Nexal,Inc. 企業Webサイトの役割の変遷)

 

トライベック・ブランド戦略研究所のBtoBサイト調査

「UXについて考慮された企業Webサイト」と「考慮されていない企業Webサイト」の「差」について示唆する重要な調査があります。トライベック・ブランド戦略研究所(http://brand.tribeck.jp/) が行っている「BtoBサイト調査」です。

毎年、トライベック・ブランド戦略研究所は種々のサイトランキングを発表していますが、その中にこの「BtoB サイト調査」があります。

 

【BtoBサイト調査の特徴】

• 実際の購入担当者が調査パネルであること

-サイトを訪れた担当者及びその企業が購入検討したのか、あるいは購買したのかまで追跡している

• サイトランキングの順位が「ニーズ充足度(※1)」で行われていること

-合目的的に訪問する購買担当者の目的達成のしやすさが指標になっている

 

※1ニーズ充足度とは、ターゲットに占める、当サイトにアクセスし、かつ情報ニーズが充足された人の割合です。これに対し、ニーズ充足率は当サイトへのアクセス者に占める情報ニーズが充足された人の割合です。

 

順位 サイト名 製品・サービス名 ニーズ充足度(%)
1 オムロン(制御機器) FA(制御機器等) 52.6
2 三菱電機(FA) FA(制御機器等) 50.8
3 キーエンス FA(制御機器等) 43.0
4 キヤノン(ビジネス用) ドキュメント
ソリューション
41.8
5 TOTO(建築専門家の
ための情報サイトCOM-ET)
建材・住設機器 40.8
6 オムロン(電子部品情報サイト) 電子部品・材料 40.0
7 LIXIL(ビジネス情報) 建材・住設機器 37.6
8 パナソニック(住宅設備・建材) 建材・住設機器 37.4
9 パナソニック(制御機器) FA(制御機器等) 37.4
10 ダイキンエアコン(空調) 業務用電気設備・機器 36.0

図6-2 トライベック・ブランド戦略研究所のBtoBサイト調査でのベスト10(2016 年)

http://japanbrand.jp/ranking/bb-ranking/bb2016-total.html

 

上位企業はWebサイトが購買プロセスにおいて重要な役割を担っていることを理解し、購買側にどのような良いUXを提供すればビジネスに貢献できるのかを日々実践してきた企業と言っても過言ではないでしょう。

 

また、10位以内にFA 企業が4社もランクインしているのが象徴的です。

この4社はWebサイトの様々な改善を毎年行っており、ここ数年ずっと10位以内の常連です。

書籍『UX × Biz Book』では、これら「BtoB サイト調査」の上位企業に代表されるWebサイトのふるまいを通して、WebサイトのUXについて考察します。ご興味のあるかたはぜひご参照ください。

著者プロフィール

橘 守(著者)
株式会社エクスペリエンス 代表取締役
2005年にWebコンサルティング&プロデュース集団、エクスペリエンスを設立。
ユーザーに最大のベネフィットとエクスペリエンスをもたらす顧客基点のサイト作りを標榜し、Webコンサルティングと実装を手掛ける。同社が手がけた三菱電機のキーテクノロジーサイト「Techno-Spiral」は、日本BtoB広告賞2008年度総合グランプリ経済産業大臣賞を受賞。