2016.11.10
平成28年度秋期 基本情報技術者試験の分析と講評~[午前試験編]
平成28年度秋期の問題の難易度は平成27年度秋期と同程度であり、平成27年度春期よりもやや難解な出題が散見されたように思われます。藤井講師が次の春試験に向けてのアドバイス!
平成28年度秋期試験の問題と解答
平成28年度秋期試験「基本情報技術者」の問題と解答は以下から入手可能です
平成28年度秋期試験 問題冊子・解答例・採点講評・配点割合(PDF)
※リンク先はIPAのサイトになります。
情報セキュリティ分野の出題比率が突出して多い
今回の平成28年度秋期の問題の難易度は,平成27年度秋期と同程度であり、平成27年度春期よりもやや難解な出題が散見されたように思われます。近年の基本情報技術者試験では、他の分野と比べて明確にセキュリティ分野の出題比率が高い傾向にありますが、それは今回も継続しており、前回と同様に今回も10問の出題がみられました。今後もこの程度の出題数であり続ける可能性は高いと判断してよいでしょう。出題内容的にも、レインボー攻撃やリバースプルートフォース攻撃、マルウェアが多く使用するTCPポート番号に関する知識やウイルス検出におけるビヘイビア法の定義内容など、最近の情報セキュリティ界における新味あるテーマが積極的に出題されていることに注目する必要があるでしょう。
オーソドックスな5分野で20問攻略を図ることが合格への手がかりとなる
全23種類(中分類)もの様々な分野ごとに出題が編成されている基本情報技術者試験ですが、システム構成要素・ソフトウェア分野・ハードウェア分野・データベース分野・ネットワーク分野のいわゆる「定番5テーマ」だけで、通常は25問程度が出題されています。その傾向は今回も引き続き同様であり、出題内容においても、データベーステーブルにおける関数従属の発見、TCP/IP階層モデル上におけるルータの位置付け、3層クライアントサーバシステム構成で実現したWebシステムの特徴、SELECT文による直積・結合演算やNTPサーバを利用した時刻合わせの理解など、これまでの本試験において何度も繰り返し出題された問題が目白押しです。今回の本試験も、この「定番5テーマ」についてしっかりと正解を得ることができたかどうかが合格への手がかりであるといって過言ではないでしょう。
新味のある出題テーマ
応用情報や高度試験など、他の試験区分では出題履歴があっても、従来の基本情報技術者試験では出題されていなかった(または類似テーマとしてごくまれにしか出題されてなかった)新味のある出題が、今回もいくつかあります。システム構成管理においては、ロードバランサを使用した負荷分散クラスタ構成とホットスタンバイ形式によるHA(High Availability)クラスタ構成の特徴、セキュリティ分野においてはWAF(Web Application Firewall)の機能と役割などの出題です。この傾向は特に企業活動や法務、システム戦略や経営戦略マネジメントのストラテジ系の各分野によく見られる傾向であり、今回の本試験においては、CGM(Consumer Generated Media)の定義、情報表現規約の規定内容、技術のSカーブ、コストプラス法などがそれに当たります。
次の春試験に向けて
前述の新規キーワードの理解・把握まで学習が進んでいなかった、またはキーワード自体を知らなかったとしても、こういった新たな切り口の問題は、出題比率的には決して多くはなく、ほぼ毎回10問前後に留まっています。これは言い換えれば、合格最低水準(全80問中60問以上の正解)から判断しても決して合否を決する程の割合ではない、ということです。逆に言えば、そういった新傾向問題が以外の問題については、過去の本試験に出題されたことのある過去問題またはその類似問題が大多数であるということを肝に銘じていただく必要があります。そのため、効率的に合格水準を達成するための学習方法として、過去問題集の徹底的な繰り返し演習を行うことが、先述の「定番5テーマ」をはじめとした頻出問題に対する最良の対策となるでしょう。