2016.09.27
合格講座:第16回「テクノロジ系~システムの構成」
2016年(平成28年)秋の[基本情報技術者試験]に合格するための重要ポイント、あらゆる場面で利用されているエンベデッドシステムやRFIDの機能などについて解説します。
システムの構成分野への対応と攻略ポイント
情報システムの多様な処理形態、特にあらゆる場面で利用されているエンベデッドシステムや、RFIDの機能などについて問われるでしょう。
本試験出題例
基本情報技術者 平成23年秋期問題 午前:問24
※リンク先はIPAサイトの過去問(PDFファイル)になります。
RFIDの活用事例として、適切なものはどれか。
ア 紙に印刷されたディジタルコードをリーダで読み取ることによる情報の入力
イ 携帯電話とヘッドフォンとの間の音声データ通信
ウ 赤外線を利用した近距離データ通信
エ 微小な無線チップによる人又は物の識別及び管理
エンベデッドシステム
エンベデッド(組込み)システムとは、様々な機器の性能を存分に発揮するために、機器に組込まれたマイコン(マイクロプロセッサ)が制御するシステム形態です。現在のところ、全世界で生産されているマイクロプロセッサは約190億個超※ですが、サーバやパソコン、スマートフォンなどの汎用的な情報系システムに用いられているものは全体の約8%程度※であり、その他の92%が組込みシステム用途であるとされていますので、全世界の大多数のコンピュータは組込みシステムであると言ってもよいでしょう。
※ 一般社団法人組込みイノベーション協議会:2016年調べ
あらゆる「モノ」に組み込まれているマイクロプロセッサ
ユビキタスコンピューティングとIoT
ユビキタスコンピューティングとは、「環境中に多くのコンピュータを組み込むことで、いつでも、どこでも、だれでもが、意識しないで、状況に応じた最適な情報の利用ができる情報システム」(東京大学情報学環教授坂村健)を意味します。ユビキタスコンピューティング社会では、マイクロプロセッサが身の回りのあらゆる場所やモノに埋め込まれ、人間を快適にする高度な情報サービスや環境の制御を提供します。
またIoTとはInternet of Things(モノのインターネット)の略語で、情報端末以外のあらゆる「モノ」をインターネットなどに通信可能として、「モノ」がセンサーなどを通して取得するその状態・情報を遠隔から操作・分析可能にしたり、モノ同士がお互いにやり取りする自律的な制御を行わせようとするしくみをあらわす言葉です
現実世界のあらゆる「モノ」や「場所」が自動的に識別されることによる応用はいくらでも考えられる
21世紀の主力コンピュータ~RFID
RFIDとは、電子タグまたは無線タグとも呼ばれる超小型コンピュータです。様々な機器に内蔵することができ、非接触で通信することによって必要なデータをやり取りします。振動にも強く長期の稼働にも耐え、現在すでに電子乗車券や電子マネー、物流管理や図書館の蔵書管理など幅広い分野で活用されており、ユビキタスコンピューティング/IoT社会の主役として期待されています。通信手段として電波を利用するタイプも多く、ある程度の遮蔽物があってもデータの受け渡しが可能であり、データを暗号化するセキュリティ機能を搭載するタイプもあります。
ダストコンピュータ
代表的なRFIDとしては日立製作所のμチップ(ミューチップ)が知られており、その極小サイズ(マイクロチップの一片が0.4mm四方)から「ダストコンピュータ(埃のようなコンピュータ)」とも呼ばれて業界の注目を集めています。これは紙製品への装着も可能であることからチケットや商品券などの金券、有価証券、各種証明書類などの偽造を防止し、信頼性と管理性能をアップするための多くの応用例があります。
μ-チップはもはや「ホコリ」にしか見えない!
■解答と解説
正解:エ
ア OCR(Optical Character Reader:光学式文字読取装置)についての記述です。
イ パソコンやスマートフォン、携帯電話とヘッドフォン等の周辺機器との標準的接続規格であるBluetoothについての記述です。
ウ 赤外線を利用するデータ通信であるIrDA(Infrared Data Association)についての記述です。