2016.08.25
合格講座:第8回「テクノロジ系 システムの構成要素~メモリ」
2016年(平成28年)秋の[基本情報技術者試験]に合格するための重要ポイント「システムの構成要素~メモリ分野への対応と攻略」について解説します。
本試験出題例
基本情報技術者 平成28年春期問題 午前:問11
※リンク先はIPAサイトの過去問(PDFファイル)になります。
キャッシュメモリの効果として、適切なものはどれか。
ア 主記憶からキャッシュメモリへの命令の読出しと、主記憶からキャッシュメモリへのデータの読出しを同時に行うことによって,データ転送を高速に行う。
イ 主記憶から読み出したデータをキャッシュメモリに保持し、CPUが後で同じデータを読み出すときのデータ転送を高速に行う。
ウ 主記憶から読み出したデータをキャッシュメモリに保持し、命令を並列に処理することによって演算を高速に行う。
エ 主記憶から読み出した命令をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上でデコードして実行することによって演算を高速に行う。
システムの構成要素~メモリ分野への対応と攻略ポイント
メモリ関連のキーワードの意味(機能や役割など)が問われる知識問題が中心となります。テキストの索引やキーワード集等を活用し、もれなく知識の整理を行いましょう。
RAMとROM
記憶装置には主記憶装置と補助記憶装置がありますが、この項目では主記憶装置とそれに関連する半導体記憶装置について解説します。主記憶装置(RAM:Random Access Memory、メインメモリ、メモリ、実記憶)は、シリコンを主原料とした半導体記憶装置であり、CPUから直接読み書き及び消去ができる揮発性(電源を切ると記憶していた内容が消去される特徴)のメモリです。また半導体記憶装置には読み出し専用のROM(Read Only Memory)もあり、電源を切断しても記憶内容が消去されない不揮発性のメモリです。
主記憶装置の役割
主記憶装置として用いられるRAMは、CPUが行う処理に必要なプログラムやデータをCPUと直接やり取りし、その内部に記憶する役割を担います。こういった情報のやり取りを電気的に行うため、高速で処理が可能です。
ROMの種類と特徴
ROMは本来マスクROMと呼ばれ、製造する際に一度だけ記憶内容を書き込むタイプの半導体記憶装置を指します。ただしそれ以外にも、製造出荷後でもそれぞれの特性に応じた方法でユーザによる書込み・消去が可能です。
キャッシュメモリの役割
キャッシュメモリはデータ転送速度が高速な小容量のメモリであって、CPUと主記憶の間に設置され、主記憶へのアクセス速度とCPUの処理速度の差を埋めることを目的とひた一時緩衝記憶装置(バッファメモリ)です。OSが直前に使用したデータ又は使用頻度の高いデータをキャッシュメモリに配置し、CPUがキャッシュメモリ上に存在するそのデータにアクセスすることで、主記憶装置へのアクセスを回避し、平均的なデータ転送速度を向上させます。なお、キャッシュメモリは複数搭載されることも多く、CPUに近いものから1次キャッシュ(通常はCPUに内蔵)、2次キャッシュといい、CPUが目的のデータを探すときは基本的にこの順番にアクセスします。
フリップフロップ回路
フリップフロップ回路(順序回路)とは、1個の回路で1ビットの情報を記憶する論理回路であり、レジスタにも使われています。これは出力値を入力値に送ることによって情報を保つしくみに特徴があり、記憶される前の状態が出力値に影響を与える特性を持っています。キャッシュメモリには、このフリップフロップ回路で構成された読み書き速度に優れたSRAMが用いられています。
解答と解説
正解:イ
読み書き速度に優れたキャッシュメモリへのアクセスによって、相対的に低速な主記憶装置へのアクセス頻度を減らし、処理の高速化を実現します。