ロボットデザイン概論 プレミアムブックス版
マイナビ出版
- 園山隆輔(著者)
ロボットデザインについての本格解説書!
ロボットが研究所から外の世界に出るために、絶対避けて通れない「デザイン」の問題。本書では、ロボットデザインを単なる外装の「スタイリング」ではなく、コンセプトメイクから機構の設計、ソフトウェアデザイン、ヒューマンインタフェースデザインまでも含む「総合設計」と位置づけます。
『一般的にデザインは外観や色彩等の表層的な部分を担当するように思われがちですが、本来「design」という言葉は非常に幅広い概念で、「総合設計」を意味すると言っても過言ではありません。特にロボットの開発においては、この「総合設計」としてのデザインが、人とロボットの関係性を良好に構築していく役割を担うことが期待されています。つまり、「ロボット・デザイン」がロボットのビジネス化における要であるという認識がなされつつあるのです。しかし、残念なことに、このような観点でロボットのデザインが包括的に行われている例は(一部の成功事例を除いて)極めて少なく、参考となるような資料も乏しいのが現状です。そこで、本書ではロボットを工業製品と捉え、特に「プロダクト・デザイン(工業製品全般に関わるデザイン)」の観点から、その理念とプロセスを解説していくことで、これからのロボットの進むべき方向性、あるべき姿、そして構築すべき「人との関係性」を模索する一助となることを目指します。また、本書ではロボットやデザインについて、基本的な概念や方法論についても触れていきます。』(著者「はじめに」より)
ロボットデザインについての基本的な考え方、アプローチの方法、実際のプロセスについて、数々のロボットを手がけているロボットデザイナーが詳細に解説した本書が、ロボット開発に携わる人はもちろん、これまでデザインという分野とあまり関わりを持っていなかった人や、これからデザインを志す人にとってのデザイン入門書となれば幸いです。
※本書は2007年4月小社刊行の同名書籍をプレミアムブックス版として復刊したものです。内容は元版から変更されておりません。
発売日:2016-06-08
ページ数:256ページ
目次
Chapter 1 ロボットをデザインするということ
1-1:「デザイン」の定義
1) 造形は機能に従う?
2) デザインの役割
3) 関係性をかたちにする
1-2:「ロボット」の定義
1) ロボットのイメージ
2) ロボットは役に立たなければいけないのか?
3) ビジネスとしてのロボットの定義
1-3:ロボットをデザインするということ
1)デザイン対象としての特殊性
2)デザイン環境の特殊性
3)ロボット・デザイナーの資質
Chapter 2 デザインのプロセス
2-1:前段階デザイン ―Pre-Designing
1)企画(事業計画)
2)ユーザー調査/市場調査
3)デザイン先行開発(デザイン研究)
2-2:本段階デザイン ―Designing
1)デザイン・コンセプト構築
2)アイデア展開
3)アイデアスケッチ作製
4)デザイン検討会議
5)部門間調整作業
6)プロトタイピング
7)デザイン図面作成
8)デザイン仕様作成等
9)デザイン引継
2-3:後段階デザイン ―Post Designing
1)量産化調整
2)パッケージおよび取説
3)設計試作・金型・プリプロダクト品等のチェック
4)広告宣伝バックアップ
5)使用実態調査
Chapter 3 ロボットならでは、の関わり方
3-1:ロボット独自のデザイン要素
1)構成要素
(1)素材
(2)デバイス
(3)アルゴリズム(駆動プログラム)
2)表出要素
(1)モーション
(2)サウンド
(3)キャラクター
(4)インタフェース
3)形態要素
(1)サイズ
(2)色彩
(3)シルエット
(4)モチーフ
3-2:研究・開発のデザイン
1)何なのか?をかたちにする
2)どうなるのか?をかたちにする
3-3:バックアップのデザイン
1)イメージのデザイン(印象バックアップ)
2)アピールのデザイン(露出バックアップ)
Chapter 4 ロボット・デザインのプロセス
4-1:前段階ロボット・デザイン ―Pre-Designing for Robots
1)企画(事業計画、研究計画、イベント計画)
2)ユーザーモデル策定
3)要素デザイン研究
2-2:本段階ロボット・デザイン ―Designing for Robots
1)デザイン・コンセプト構築
2)アイデア展開
3)アイデアスケッチ作製
4)デザイン検討会議
5)部門間調整作業
6)プロトタイピング
7)デザイン図面作成
8)デザイン仕様作成等
9)デザイン引継
4-3:後段階ロボット・デザイン ―Post Designing for Robots
1)量産化調整
2)パッケージおよび取説
3)設計試作・金型・プリプロダクト品等のチェック
4)バックアップ
5)使用実態調査
著者プロフィール
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園山隆輔(著者)
園山 隆輔( そのやま たかすけ)
1961年、大阪府に生まれる。幼少時、当時大人気だった鉄腕アトム、鉄人28号はそっちのけで、「音声入力ですべてをこなす」ジャイアントロボや、「分離により機動性をアップし、合体により格闘性を確保する」キングジョー(『ウルトラセブン』に登場する宇宙人の戦闘ロボット)にハートを鷲掴みにされる。1970年の日本万国博覧会(大阪万博)で、目もくらむような最先端テクノロジー(当時)の数々に洗礼を受け、「未来のことを考えずにはいられない病」に罹患。また、万博テーマ館のイベントスペース(お祭り広場)に配備された大型ロボット「デメ」「デク」の「イベントのためだけに造られたロボット」という、あまりにも明快すぎるコンセプトに感銘を受ける。これにより、デザイン屋としての道をほぼ決定付けられる。その後、京都工芸繊維大学、意匠工芸学科でデザインを学び、松下電器産業(株)に、デザイナーとして就職。オーディオ機器を中心にハードとインタフェースの両面からデザイン的アプローチを行う。ある時、上司の机上に放置してあった書類から、デザインの開発テーマに「ロボット」が挙がっていることを知り、30分で企画書を書き上げ、上司に提出。まんまと担当者となり「仕事でロボットのデザインをする」という、考えただけでニヤけてしまうような環境を手に入れる。2002年、同社を退職、T-D-F(T.Sonoyama Design Factory)を設立。フリーランスのデザイン屋として、ロボットとインタラクションに関わるデザインなら「何でもやります」をモットーに今日に至る。2015年、それまでのロボットデザインをまとめた展示会「カンケイのロボット ~園山隆輔ロボットデザイン展~」を開催。「デザインとは、関係性をかたちにすることである」が座右の銘。
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