最新Macの驚きの機能&活用[Mac本体編①]|MacFan

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最新Macの驚きの機能&活用[Mac本体編①]

文●今井隆大須賀淳小平淳一氷川りそな松山茂山田井ユウキ写真●黒田彰

最新Macでは、これまでの常識ではできなかったことがいくつも実現可能になっています。驚きの情報が盛りだくさん!

新しいセキュリティ管理へ T2チップの搭載でより安全に!

この小さなチップが大事! 

photo●ifixit.com

 

より安全なMacへ

iMacプロや2018年モデルのMacBookプロには「アップルT2(以下、T2)」というコントローラが搭載されています。これにより、Macに新しいセキュリティ管理が備わりました。

たとえばストレージ内のデータを暗号化して保護したい場合、従来のMacは「ファイルボルト(FileVault)」というmacOS標準のセキュリティ機能を使う必要がありました。これを利用した場合、パスワードを入力しない限り第三者がデータを復元することはできません。ただし、暗号/複合化作業はCPUで計算を行っているため、ほんのわずかに動作が低下します。

一方でT2を採用したMacでは、コントローラに組み込まれた「AESエンジン」を使ったデータの暗号化を行います。これはCPUでの計算を行わないためMacの動作に負担がなく、また従来よりも高速に処理できるという特徴があります。

注意したいのは、この機能は暗号化された外付けSSDをMacに接続した際、自動的にマウントし、復号化してしまいます。そのため、よりセキュリティを高めた環境でMacを使いたい場合には、ファイルボルトと併用することが推奨されています。

ほかにもT2搭載Macには「安全な起動(セキュアブート)」機能が搭載されました。これはMacが正規の信頼されたmacOSもしくはウィンドウズから起動しているかどうかを確認する機能で、ウイルス対策ソフトでも対処できないようなシステムレベルで感染しているマルウェアやハッキングなどから私たちを保護することができるようになっています。

この「安全な起動」は、Macを「macOS復元」モードで起動させた場合に使うことができる「起動セキュリティユーティリティ」によってセキュリティレベルを完全(インターネット経由で毎回信頼性を確認)、中程度(オフラインでシステム内の署名情報を確認)、なし(従来と同じ)の三段階で設定することができます。

また、これらのユーティリティには、USBやサンダーボルトなどの外部接続ストレージからの起動を制限することができる「外部起動」というオプションが用意されており、パスワードを設定することなく、外部ストレージの起動を禁止することができます。

 

T2搭載モデルのみ使える

起動セキュリティユーティリティは、Apple T2を搭載したMacのみ「macOS復元」モードから呼び出すことができる新しい機能になります。

 

起動ストレージを制限

外部ストレージの起動を禁止すると、システム環境設定の[起動ディスク]パネルの選択画面でも警告シートが表示されるようになっています。

 

 

 

 

 

もはや外部スピーカいらず!? 本体スピーカでイイ音を体験!

音の厚みがスゴい!

 

イメージを覆す

Macシリーズ本体のスピーカにも、年々進化が施されています。ノートPCというと「薄くチリチリした質感の音」のイメージがありましたが、近年のMacBookプロでは、音に低域が出て、厚みが感じられるようになっています。スピーカで厚みのある音を出すには、原則としてある程度の物理的サイズが必要なため、本体を大幅に薄型化させながら音質アップを実現したのはかなり驚異的です。

アップルは、ヘッドフォンやスピーカを開発するビーツ・エレクトロニクス社を30億ドルで買収するなどオーディオ分野に注力しているので、そこで得た技術が本体スピーカにも確実に反映されているのが感じられます。現在のMacBookプロのスピーカは少音量でも聴き取りやすいので、ぜひ音の面にも着目してみてください。

 

MacBook Proの音質を「可視化」して検証!

主観的な感覚である「音の良さ」を、目で見える形で計測してみました。すべての周波数成分を含む「ホワイトノイズ」を、レコーダ側のメータで同じになる音量で再生&録音し、Adobe Auditionの「スペクトル表示」機能を使って可視化。信号ロスの具合を確認することで、音質の傾向がわかります。この手法はマイクやレコーダの特性も反映されますが、マイクの距離を同一に揃えることで、測定対象同士の差異を比較可能です。

MacBook Pro Mid 2010(15インチ)と2016(13インチ)を比較したところ、聴感上の印象がほぼ反映された結果に。Mid 2010は、ノートPC特有の「薄い音」になっている一方、2016は低音が大幅に補強され、全体的なムラも少なくなっています。物理的なサイズが大幅にコンパクトになりながら、音響特性をこれだけ改善させるのはかなり高度な技術です。

テストに使用した元の信号(ホワイトノイズ)。すべての周波数成分が均等に含まれており、再生~録音結果のスペクトル表示がこの形に近づくほど「元ソースを忠実に再生・録音できている」ということになります。

 

MacBook Pro Mid 2010の計測結果。低音は250Hz付近で急に弱くなり、これだとベース音の重みは感じられません。周波数帯域ごとのバラツキが大きく、オーディオ装置としては理想からほど遠い特性に。

 

MacBook Pro 2016の計測結果。2010より低域成分が多く、音の厚みを感じやすい状態に。各周波数帯域ごとの変化がなめらかなので、極端なクセを感じにくく、人の声から音楽までバランス良く聴ける特性です。

 

スゴすぎる! iMac Proのスピーカ

全体に渡り超ド級のスペックを持つiMac Proは、スピーカ部分も新設計され、よりリッチな音響が実現されています。筐体内部の左右にあるエンクロージャが大型化されたことにより、音量の増大や低音性能の向上につながっているのです。また、スピーカユニットの変更に加え、本体背面の下部にほかのiMacにはないスリットが設けられているので、その部分が低音表現の豊かさに大きく機能していると推察されます。ビデオ編集や、ちょっとした音楽作りに十分使えるレベルといえるでしょう。

iMac Proは、内部に2ウェイ(高音用のツイータ&低音用のウーハー)を持ち、構造自体が従来のiMacから見直されています。排熱を兼ねた下部スロットを装備することで、よりダイレクト&クリアな出力を実現しています。