iPod touchで操作可能な未来型カプセルホテル|MacFan

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iPod touchで操作可能な未来型カプセルホテル

Mac Fanが今注目するCreative&Innovativeな「ヒト・コト・モノ」

3つの未来が交差するホテル

2018年3月、東京・渋谷に未来型カプセルホテル「ザ・ミレニアルズ(The Millennials)渋谷」がオープンした。テーマは「未来が見える宿泊体験」で、客室単価は6000円前後。2017年、京都河原町三条に開業した1号店に続く宿泊施設である。

カプセルホテルといえば、終電を逃したサラリーマンが一夜を明かすために利用する格安施設を想像する人もいるだろう。しかし、ザ・ミレニアルズが従来のカプセルホテルのイメージと一線を画すことは、4階のフロントに到着した瞬間にわかる。アーティスティックでスタイリッシュな内装、ラウンジのソファでMacBookを開き作業する外国人観光客たち、バルミューダの調理家電で統一されたセルフキッチン。毎日17時30分から1時間はフリービールタイムが設けられている。

しかし、これらはザ・ミレニアルズが作り出す宿泊体験の一側面でしかない。このホテルには3つの“未来”が交差している。「コンセプト」「宿泊体験」「バックヤード」ーどの視点からでも、ワクワクする未来を覗くことができるのだ。

 

 

“Smart Pod”と呼ばれる宿泊ユニット。天井高2.3メートル、床面積3平方メートルの室内に備えつけられているのは、米国シェア1位のSerta(サータ)社製のセミダブル・リクライニングベッド。ベッド下にはLL型のスーツケースも開いたまま収納可能な大容量キャビネットがある。

 

 

20人の著名アーティストが自由な発想でアートを描いた「アートポッド」が20室用意されている。アーティストのファンだけでなく誰もがワクワクできる仕上がり。

 

 

暮らす・泊まる・働く・遊ぶの境界線がなくなる未来のための宿泊施設

 

ミレニアル世代の革新

ホテルの名前どおり、コンセプトは未来志向のミレニアル世代が意識されている。ザ・ミレニアルズを運営する株式会社グローバルエージェンツ代表取締役社長の山崎剛氏によると、このホテルは「ミレニアル世代による、ミレニアル世代のための宿泊施設がテーマ」だという。ミレニアル世代(1980年代~90年代後半に生まれた人々)は、若年期にリーマン・ショックや格差問題などの厳しい社会問題のあおりを受けたことから、過去の世代とは異なる価値観や経済観念を持つとされる。また、初めてのデジタルネイティブ世代であり、SNSを通じた共感ベースのコミュニケーションを重視。所有に対する憧れが少なく、モノ消費ではなくコト消費への意識が強いといわれている。

自身も1982年生まれでミレニアル世代だという山崎氏は、利用者のターゲットをインバウンドや宿泊目的で絞るのではなく、あえて世代で区切った。その理由は、消費や所有などの価値観がこの世代を中心に変わってきているからだ。

「私たちは、合理性と自由と多様性を重視する世代です。そこで、この世代の特徴をホテルという場所で体現しました」

合理性の例でいえば、1日1、2回しか使わないシャワーは共用にして、客室をコンパクトに。価格は抑えつつ、共用スペースを施設全体の2割と広く確保することで、ゆとりある滞在を実現した。また、テクノロジーの進化によって世界中どこでも自由に仕事ができるようになった背景を踏まえ、セルフキッチンやコワーキングスペースを用意。「暮らす」「働く」「遊ぶ」の垣根が曖昧で、働きながら旅をする自由なミレニアル世代のライフスタイルをサポートする。

さらにSNSが浸透した昨今、人々の多様性を許容する考えは、ミレニアル世代を中心にますます広がってきている。そこで、ゲスト同士が交流できるラウンジを設け、国内外から訪れた宿泊客同士が気軽にコミュニケーションを取れるような空間を提供している。

そして、なにより未来志向のミレニアル世代に欠かせないのが、テクノロジーによるイノベーションだ。

「テクノロジーは、合理性と自由度を高めるために不可欠なツール。より快適に、より楽しくワクワクする体験を提供するために、IoTやiPodタッチを取り入れています」

 

 

山崎剛 Takeshi Yamasaki

株式会社グローバルエージェンツ代表取締役社長。「文化創造企業」として、ホテル事業、ソーシャルアパートメント事業などを手がける。当初は、利用者のスマホにアプリをダウンロードしてもらう方法も考えたというが、未来的な世界観の演出やアプリの開発コストを考慮した結果、iPod touchに統一したと言う。

 

 

仕事をしたいときは、ミーティングルームも設けられたコワーキングスペースを利用できる。「暮らすように泊まり、遊ぶように働き、働きながら旅する」。

 

 

セルフキッチン付きのラウンジ。朝食時はキッチンでパンが提供されるほか、コーヒーメーカーも自由に利用できる。




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