2016.07.15
2015年のアップル広告「iPhone6で撮影」は、超美麗な映像や写真で世界を驚かせた。同広告に作品が採用された日本人クリエイターのうちの2人、今泉純さんと岩元康訓さんは、今もiPhoneで作品を作り続けている。他の専用機材もある中で、なぜ彼らはiPhoneを選ぶのだろうか。
その瞬間、その雰囲気を決して逃さない
まるで空中に浮かんでいるかのような、不思議な場所に佇む一人の女性。その真下にあるのは、東京は表参道の雑踏だ。都会の中にありながら静謐さに満ちたこの写真は、どこか非現実の雰囲気をたたえている。
今泉純さんは職業写真家ではない。学生時代から写真に親しんではいたものの、より深く写真にのめり込むきっかけとなったのがiPhoneだ。
「ブログに載せるために子どもの写真をiPhoneで撮ったところ、意外なほどよく撮れることに気づいたのです」
同時期、インスタグラムと出会い、写真を共有する楽しさを知った今泉さんは、iPhoneフォトの世界に夢中になっていく。インスタグラムユーザには1つのテーマで被写体を追いかける人も多いが、今泉さんの写真はポートレートから都市のスナップ、ネイチャー写真まで多彩だ。その代わりに一貫して感じられるのは、寂寥感や退廃感といった独特の空気感だ。