2016.03.08
数多くのアプリのバックエンドを支えるサービス、パース(Parse)が提供終了を発表した。完全終了まで1年近い時間があるが、このままではサービス停止に伴うアップストアの混乱が予想される。こうしたサービスを用いて新製品の早期開発が求められている現代。それ以前に確立されたアプリストアのひずみが見え始めている。
1年後のパース終了
モバイルアプリ向けのバックエンドツールを開発・提供するパース(Parse)のサービス終了が発表された。もともとは、スタートアップから成長した同名企業が運営していたパースだが、2013年のフェイスブックによる買収でさらに顧客を増やし、今では60万個を超えるアプリに用いられている。今回のサービス終了の報に多くのアプリ開発者が困惑しているが、影響はパース利用者にとどまらない。来年1月末にサービスが打ち切られると、アップストアが荒廃する可能性も指摘されているのだ。
まず、そもそものパースの役割を簡単に説明しよう。今日のモバイルアプリの多くは、インターネットを通じてさまざまなツールを利用している。たとえば、ユーザが交流できるコミュニティの仕組みがあるアプリには、ユーザの登録や認証、データの保管・共有、ソーシャルサービスへの接続といった機能が必要だ。こうしたバックエンドの仕組みを肩代わりし、アプリ開発者がフロントエンドのアプリ作りに専念できるようにするのが、MBaaS(Mobile Backend as a Service)と呼ばれるサービスで、パースはこの分野のパイオニアともいえる存在だった。
パース開発チームは、サービス終了の理由を「リソースを他の事業に集中させるため」と説明している。順調に顧客を増やしてきたものの、MBaaSではマイクロソフトやグーグル、アマゾンなど大手のライバルが台頭してきている。料金やサービス内容の競争に直面し始め、競合ではなく撤退の道を選んだのだろう。