アップルのビジネスモデルは広告ベースに非ず|MacFan

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iAd終了に伴うアプリ広告販売からの撤退の真意

アップルのビジネスモデルは広告ベースに非ず

文●山下洋一

中途半端な位置づけになっていたモバイル広告事業の見直しにアップルが乗り出した。広告ベースで無料提供していた「iTunesラジオ」を打ち切り、6月末に「iAdアップネットワーク」を終了させる。こうした広告事業からの撤退は、見方を変えるとユーザのプライバシー保護を最優先するという同社の主張を徹底した決断とも捉えられる。

プライバシー保護と矛盾

アップルは、iOSアプリへの広告配信プラットフォーム「iAdアップネットワーク」(以下iAd)を終了させる計画を発表した。また同じタイミングで、米国とオーストラリアで提供していた無料版の「iTunesラジオ」を終了させた。iAdはモバイルディスプレイ広告でシェアを伸ばせず、iTunesラジオはグローバルに展開できるほどユーザに利用されなかった。悪くいえば、モバイル広告販売と無料音楽ストリーミングからの撤退である。だが、これらは実のある撤退ともいえる。このことによりアップルは、これまで長く説明に苦労してきた大きな矛盾を解消できるからだ。

アプリ開発者のビジネス機会を広げるために生み出されたiAdは、広告主にとって魅力的なターゲットであるiOSデバイスユーザにリーチできる利点がある。しかしグーグルやフェイスブックなどの広告に比べるとユーザ追跡力に劣り、アップルの厳しいプライバシーポリシーの存在などもあって顧客が伸び悩んだ。また、どんなにプライバシー保護を徹底しても、アップルが広告型のビジネスモデルを実践している事実が、同社のプライバシーに関する方針と相反するという指摘を受け続けた。




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