2015.10.14
WEB産業を長年悩まし続けているHTML5のビデオコーデック問題。H.265/HEVCに想定外のライセンス料が上乗せされる可能性が出てきたことで、主要なブラウザベンダーとWEB企業がアライアンスを結成した。オープンソースで公開し、特許使用料を払わずに利用できる次世代のビデオフォーマットの開発を進める。
変化が期待できる強力な布陣
アップル・ミュージックに続いて、映像配信サービスのネットフリックス(Netflix)が日本に進出し、時間やデバイスを問わず楽しめるストリーミング配信がエンターテインメントの主流になろうとしている。そうした中、次世代の動画圧縮・配信技術の開発を目的とした業界団体「アライアンス・フォー・オープンメディア(Alliance for Open Media以下AOM)」が誕生した。モジラ、グーグル、マイクロソフト、ネットフリックスなどが参加しており、オープンソースで利用できるロイヤリティフリーのビデオフォーマットの確立を目指す。
AOMが組織されたのは、アップルなどが推す次世代ビデオフォーマットH・265/HEVCの先行きに暗雲が垂れこめてきたからだ。現在オンライン動画の圧縮技術として広く用いられているH・264/AVCは、ロイヤリティフリーではないものの、同形式の特許を管理するMPEG LAがオンラインで利用しやすい条件でライセンスを供与している。H・265についてもMPEG LAはネットフレンドリーな立場を継続している。ところが、今年に入ってHEVCアドバンスという新たなパテントプールが登場し、ネット動画配信にもライセンス料を課す計画を示した。