いよいよ発売になりました!「金環日食観測ガイド ~安全に観測できる日食メガネ付き~」。PPフレームの日食メガネと内容盛りだくさんの48ページのムックの組み合わせで480円なので日食メガネとポスターや説明書だけの組み合わせの商品と比べてもたいへんお得だと思います。ぜひ、一度手に取ってご覧下さい。
架台を選ぶ場合の注意点
それでは架台の紹介です。架台は、鏡筒を支えるとともに目的の天体に向けるためのパーツです。鏡筒は大きければ大きいほど性能がアップし、さらに直接自分の目で覗くため性能の違いがわかりやすいのですが、架台は外見だけではなかなかわかりません。内部の構造は分解してみないと確認できないので、そこそこの大きさで頑丈そうに見えても意外に貧弱で精度が低いということもあります。実際に使って試してみるのが一番なのですが、残念ながらそういう機会はほとんどありません。仕方なく、メーカーの信頼性や巷の評判に頼ることが多くなってしまうのですが、絶対に選んではいけない製品だけはハッキリしています。カメラの三脚のような貧弱で微動ハンドルのない架台が付属している望遠鏡です。
天体望遠鏡はカメラなどとは違って高倍率で見るため視野が非常に狭く、指先で軽く鏡筒に触れただけでも目的の天体が視界から消えて(外れて)しまうことがよくあります。場合によっては、風や地面の振動だけで消えてしまいます。逆に目的の天体を視野に入るのはとてもたいへんです。月や太陽のように明るくて見かけのサイズが大きいものはともかくとして、広大な宇宙にある惑星や暗い星雲を望遠鏡の狭い視野に入れるためには微細な動きが要求されるため、少しずつ望遠鏡を動かすことができる微動ハンドルが必須となります。カメラ三脚のような構造で微動ハンドルのない架台で天体を観測するのは無理なんです。皆さん、これだけは忘れないでください。
架台の種類はいくつあるの?
架台も鏡筒と同様に複数の方式があり、選び方を間違えると使い勝手が悪いだけでなく、目的を果たせないこともあります。ただし、鏡筒と違って一般向けの架台は大きく分けて「経緯台」と「赤道儀」の2つしかありませんので、仕組と特徴を理解できていれば架台を選ぶ悩みは大きく減ります。もちろん、精度や堅牢性、あるいはモータによる自動追尾機能やコンピュータを利用した自動導入機能の有無といった違いはあります。このあたりはスペックの違いということになりますので、天体望遠鏡に投資できる金額によって変わってきます。お金を出せば出すほど頑丈で高機能なものが購入できますが、数百万円もポンと払える人はそうはいないので悩ましいところです。また、高価で高機能な架台は使う側にも高い技術力と知識が要求されます。数百万円払えば誰でも簡単に目的の天体が見られるということではありません。

左が上下左右に回転する経緯台(ビクセンのポルタIIシリーズ)、右が天体を追尾できる赤道儀(ビクセンのSXシリーズ)。
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