D-文字作品の基本ルール


■文字作品とはなんでしょうか?

 

ここでいう文字作品とは小説、エッセイ、詩集、句集など、文章が主体となる作品のことです。100%文字のみの作品はもちろんですが、挿絵的な写真やイラストが入るものも文字作品とします。ここでは文字作品の電子書籍を読みやすく作りやすいものにするために、原稿を執筆する際の基本ルールを以下の順で説明します。これらのポイントを守って原稿をお作りください。

 

■文字作品の基礎知識
原稿ファイルの種類
原稿内での画像貼付指定について
文書の階層化
縦書きと横書き/右開きと左開き
■用字・用語と表記の統一について
数字と欧文の表記
外字
表記の統一
漢字にするか仮名にするか
カタカナ用語の音引き
送り仮名の統一
使ってはいけない記号など

 

 

■文字作品の基礎知識


◎原稿ファイルの種類

原稿データは、テキストファイル(.txt)のほか、Microsoft Wordファイル(.doc)などで保存したものをお使いください。また、Microsoft Word以外のワープロソフト(一太郎など)をお使いの場合は、「.txt」もしくは「.rtf」で保存したものをお使いください。ExcelやPowerPointなどで制作されたものは不可としますのでご注意ください。


◎原稿内での画像貼付指定について

文中に画像(+キャプション)を掲載する場合、Microsoft Wordなどのワープロソフトの場合はファイル内に貼り付けた状態で入稿ください。画像の解像度やファイル形式などは、「画像作品電子書籍制作の基本ルール」をご参照ください。

画像を貼り付けられないテキストエディタなどで原稿を書かれた場合、本文中に「●001.jpg●」など、画像ファイル名を●や■など目立つ記号を使って貼付位置を指定してください。

 

※画像データの入稿方法については、「画像作品電子書籍制作の基本ルール/データは圧縮して1ファイルにまとめてください」をご参照ください。

 

◎文書の階層化

EPUB電子書籍の中味はXHTMLというマークアップ言語です。これはオーサリングツールによって文書にタグを付けて階層化していくという作業になりますが、階層化とは文書に意味を付けていくということであり、実際に原稿を執筆していく際も、この階層化を意識する必要があります。具体的には大見出し、中見出し、小見出し、本文、キャプションというように、文書の階層を明確にしておきましょう。これが曖昧だと読みにくい文書になってしまいますし、オーサリングツールで制作の際もどのタグを付けていいか分からなくなり、作業が混乱する原因となります。

文書の階層化を容易にするために、Microsoft Wordドキュメントのテンプレート「原稿執筆テンプレート」(ファイル名「文書の階層化テンプレート」)を作成しました。このテンプレートにテキストを打ち込んでいけば、自然と階層化された文書が出来上がります。ぜひともご利用ください。

 

◎縦書きと横書き/右開きと左開き

日本語の表記には縦書きと横書きがありますが、横書き/縦書きはオーサリングの段階で設定しますので、原稿を書く場合は横書き/縦書きにこだわる必要はありません。お使いのソフトの機能によって、使いやすい方を選びましょう。また、EPUBの電子書籍は右開きと左開きを指定することが出来ますが、文字の流れと開き方は密接な関係があり、組み合わせによってはとても読みにくいものになってしまいます。なので「縦書き/右開き」、「横書き/左開き」という紙の書籍と同じ組み合わせを選択するのがいいでしょう。これも実際はオーサリング段階で設定しますので、原稿執筆段階ではこだわる必要はありません。

 

 

■用字・用語と表記の統一について

用字・用語と表記が統一されていない文章は、読者の読むリズムを壊し、読む意欲を失わせることにつながります。また、編集時にそれらを修正するのは時間もかかります。よって、原稿執筆時に表記の統一は必ず行うようにしておきましょう。ここではいくつかのポイントを説明いたします。


◎数字と欧文の表記

これは電子書籍を縦書きにするか横書きにするかで原稿執筆字の扱いが変わります。横書きの場合は数字も欧文も半角にするのがいいでしょう。縦書きの場合は①半角にしてその部分だけ横書きにする、②全角にして縦書きにする、という2つの選択肢があります。どちらを選ぶかは任意ですが、オーサリングツール上で変える作業は面倒です。どちらを選ぶにしてもポリシーをハッキリと決め、原稿執筆時に正しく入力しておきましょう。

 

◎外字

特定の文字を集めたものを「文字セット」と言い、その中に入らないものは外字と呼ばれます。外字はコンピュータで文字を扱う際に表示できない事があり、人名や地名を正確に表記する場合などは問題になることがあります。その場合、文字をグラフィックソフトで作成して、画像として貼り込むという解決策がありますが、知識や技術が必要となります。その場合は無理に表示をしないで、代わりに説明のテキストを加える方法が現実的かもしれません。

 

◎表記の統一

文章は大きく分けて語尾が「〜です」「〜します」になる「ですます調」と、「〜だ」「〜である」になる「だである調」に分けることが出来ます。「ですます調」は柔らかい印象、「だである調」は固い印象をあたえますが、どちらがいいというものではありません。文章の内容などで適宜使い分けましょう。避けたいのは二つが混在すること。「ですます調」の中に突然「〜である」が出てくると、読者は違和感を抱いてしまい、読むリズムが大きく狂いますので、どちらかに統一することをおすすめします。

 

◎漢字にするか仮名にするか

「出来る」と「できる」や「全て」と「すべて」など、日本語は同じ意味で漢字と仮名の両方が使えますが、これらは意識して使わないと必ず混在してしまい、とても読みにくい文章になってしまいます。これも統一しておきましょう。

 

◎カタカナ用語の音引き

「コンピューター」と「コンピュータ」、「ユーザー」と「ユーザ」など、カタカナ用語の音引きも混在しがちです。理工系の書籍では音引き無しが一般的ですが、これもどちらが正しいということではありませんので、どちらかに決めて統一しておきましょう。

 

◎送り仮名の統一

「話し」と「話」、「答え」と「答」のように、漢字には本則と許容という2通りの表記されるものがあります。どちらを使っても構いませんが、これも読みやすさを考えて統一しておきましょう。

 

※これら用字・用語、表記の統一については共同通信社『記者ハンドブック』などが参考になります。

 

◎使ってはいけない記号など

半角の「<」「>」といった半角の不等号記号や「”」「/」はXHTMLのタグに使われるため、これらが文中にあると、オーサリングツールやビューワーと呼ばれるEPUBファイルを読むためのアプリケーションが誤作動する可能性があります。なのでこれらの記号は使用しない方がいいでしょう。また、全角ならその誤作動する可能性はほとんどありませんが、全角で書いていたつもりがいつの間にか半角になっていたという人為的なミスもあり得ますので、十分に注意をしてください。

 

 

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