伊藤沙女流四段は途中、長考の末に31手目▲７五歩と伸ばして位を取ったあと、図の局面まで進めました。対局立会人の東和男八段は、持ち歩が２枚になれば▲９五歩△同歩▲９三歩△同香▲９四歩△同香▲８五銀の端攻めを狙えるようになるといいます。一例は△６五同歩▲同銀△６四歩▲７六銀のあと、▲９五歩以下の筋を決行してどうかです。


（伊藤沙女流四段は積極的に攻めを作ろうとしている）

（虹）

12時、図の局面で昼食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲伊藤沙１時間18分、△福間40分。昼食の注文は、福間女流五冠が「親子丼（白米小盛）」（やまがそば）。伊藤沙女流四段の注文はありませんでした。対局は12時40分に再開します。


（昼食休憩時の芙蓉の間。伊藤沙女流四段が対局中さながらの様子で考え続けていた）

（虹）

定刻の12時40分に対局は再開しました。






（対局再開の一着は、いきなりの端攻めだった）


（この手を見た福間女流五冠は背筋を伸ばすような仕草を見せた）

（虹）

14時頃の局面です。消費時間は☗伊藤沙２時間10分、☖福間１時間６分。なんと守りの５七銀をぶつけていきました。この手が指されると、東八段から「強気やなー！」と声が上がりました。
「普通は△５六同銀に▲同飛ですね、▲５三歩成の攻めも生じますから」（棋士室の脇謙二九段）


（ひたすら攻めを見る伊藤沙女流四段。記事タイトルは脇九段が思わず口にした言葉だった）

（虹）

伊藤沙女流四段が攻め続けた中で、福間女流五冠は反撃のチャンスをうかがっていました。この歩の垂らしで戦力を増強でき、次は△５八歩成▲３九玉△５七銀成が詰めろになります。
東八段は後手よしと見ており、「どこかで△５一金引という手も出てくるかもしれませんね」と見解を述べました。次は△３二飛の転回が、使えていない飛車に活を入れて味のよい一着となります。


（終盤の要所を迎えている。この攻防を制するのはどちらか）

（虹）