局面は終盤に差しかかろうとしています。△２一歩には▲３二竜と予想されていましたが、和田女流初段は▲７三角成△同銀▲３二竜と指しました。

角を切ってから竜を逃げました。角を切ったのは、「△５五飛で交換になるくらいなら薄くしたほうがよい」と判断したからです。先手は金銀４枚の穴熊をいかして食いつこうとしてしています。控室では「難しい」との評判です。


（対局再開後の和田女流初段。穴熊らしく食いつくことができるか）

（紋蛇）

 

激しい攻め合いに突入しています。実戦は▲６六金でしたが、控室では▲６二歩成を検討していました。以下△７七歩成▲７二と△７八と▲同銀△７二金▲同竜△８二金▲７一金△７二金▲同金△８二金▲７一金打△７二金▲同金△８二金▲７一金打……。結論は、金銀打合いの千日手でした。相穴熊の名物と言っても過言ではないでしょう。


実戦に戻りましょう。▲６六金以下△同馬▲６二歩成△同銀▲同銀成△同金寄▲５五銀。

「千日手を嫌ったんでしょうね。」と控室。ひとまずは千日手の可能性はなくなりました。和田女流初段は攻防に利く角のラインを止めようとしています。気になるのは△７九角成からの食いつき。控室では猛スピードで検討されていますが、まだ結論は出ていません。熱戦です。

（紋蛇）

上田女流三段は角をたたき切って食いつこうとしています。▲同金△７九銀。


穴熊の金に働きかけるのはお馴染みの攻防です。先手は▲６四角で合駒請求できることが楽しみですが、控室では「振り飛車がいいのではないか」と言われています。


（再開後の上田女流三段。角２枚をたたき切って寄せ合いを挑んだ）

（紋蛇）

▲和田－△上田戦は104手で上田女流三段が勝ち、加藤桃子女王への挑戦権を獲得しました。終局時刻は16時48分。消費時間は▲和田３時間０分、△上田２時間52分（持ち時間、各３時間）。

（牛蒡）

（勝った上田女流三段。挑戦権を獲得した）

【上田女流三段インタビュー】
－お疲れ様でした。相穴熊の熱戦でしたが、一局を振り返っていかがですか？
ずっと苦しかった。最後は偶然（角を）２枚切る手が見ましたが、その手前までは苦しかったです。

－どのあたりが苦しかったですか。
ちょっと駒組みが甘かったですかね。歩を突いて桂跳ねられて、模様が悪いと思いました。

－△８八角成に▲同玉もあったのでは言われていました。
それもわからなかったですし、▲同金△７九銀に▲６九飛でもわかりませんでした。

－これで五番勝負進出です。感想をお願いいたします。
この将棋自体がずっと苦しかったので、次のことをまだぜんぜん考えていないんですけれども……出場できるということで、非常にうれしく思います。


（敗れた和田女流初段）
【和田女流初段インタビュー】
－お疲れ様でした。一局を振り返っていかがですか。
（上田女流三段が）「苦しかった」とおっしゃったんですが、私もずっと自信なかったです。

－挑決を戦い終えた、いまのお気持ちをお願いいたします。
悔しいですけど、実力なので。これからまた、がんばります。


（インタビュー後、すぐに感想戦が始まった）

（紋蛇）