後手が勝ちに近づいています。上図の△５六馬は飛車取りに加え、先手の美濃囲いをにらむ絶好の位置となっています。先手は飛車取りの受け方が難しく、▲６四飛には△４六馬がピッタリの切り返しです。以下▲６六飛と角を取られますが、△３六桂▲１八玉△２八金で先手玉が詰みとなります。飛車が逃げては勝てないと判断して、上田女流四段は▲７一飛成と飛車を切って勝負を掛けました。



（北村女流二段は着実に勝ちに近づいている）

（胡桃）

棋士室では後手の攻め手段が多く、悩ましいぐらいだとの声が上がっています。
「代えて△７三桂など、いろいろと攻め方が考えられました。その中でもいちばん厳しい手です。飛車のラインを止めたいのですが、▲７四歩では受かっている気がしません」（東八段）
徳田四段も「きついですね」と同調し、▲７四歩に対して△８九角、△８八歩、△８六歩など複数の有力手を挙げました。


（松下女流初段はここをしのげるか）

（虹）

上図は△４五角と打った局面。上田女流四段は▲４六歩と突いて、攻めの勝負手を掛けました。△８九角成と手順に桂を取られてしまいますが、▲５四桂が待望の一手です。金銀両取りとなっており、次に▲４二桂成△同玉▲５二金と進めば後手陣に食いつくことができます。本譜は△５四同金▲同飛△５三銀と北村女流二段は対応しました。


（上田女流四段は攻めの勝負手を放つ）

（胡桃）

図は昼食休憩時の局面。後手は（１）△７二銀▲５一飛成△６二銀とすれば竜を捕まえることができます。しかし以下▲４二竜△同玉▲５二歩成△３二玉▲５四歩（A図）まで進むと、先手の攻めがつながってしまいます。次の▲５三歩成が受からず先手玉の美濃囲いも遠いため、後手が勝ちにくい展開です。本譜は（２）△６二銀▲８一飛成△７一銀打▲６六歩△４五角と進みました。




△４五角は味のよい一着です。次に△８九角成と桂を取る手と、△６四金として８一の竜を狙う手が残っています。また▲５四桂と打つ攻め筋も消しています。北村女流二段は先手の攻めをうまくかわしています。


（先手の攻めをうまくかわしている北村女流二段）

（胡桃）

昼食休憩が明けて数手でここまで進み、加藤女流四段が熟考に沈みました。松下女流初段は馬を引きつけ、一時は攻められていた玉頭を強化しています。
棋士室に来訪している井上慶太九段は「形勢は難解だと思います。ただ、持ち駒の多さから後手を持ってみたいです。方針としては△７四銀～△７五歩の筋が基本ラインかなと思います。玉が下段なので、飛車を渡す展開にならないかは不安材料ですね」と見解を述べました。


（朝の加藤女流四段）

（虹）