図の局面、４四角と４六角を比較すると、後手の４六角のほうが働きがよさそうでした。そこで北村女流二段は▲５三角成△同玉▲５六飛の強手を放ちます。角を盤上から消して局面を収めようという手順です。

ただ、▲５六飛に△５五角▲同飛△５四歩と手番を握る受けが成立するかもしれません。先手が先に角を捨てているため、５五で角を取らせても後手は駒損にはなりません。横歩取りらしい派手な応酬です。後手が気になるのは残り時間でしょうか。大島女流初段は図の局面で時間を使っており、先手に対して１時間の差がつきそうです。

（朝の北村女流二段）

（牛蒡）

14時になり、YouTubeで大盤解説の配信が始まりました。

【オンライン大盤解説会｜将棋情報局】
https://www.youtube.com/watch?v=eaeGdUruBkc

（牛蒡）

△４六角▲４四角と４筋の歩を取り合って図。佐藤義九段は「先手が怖い局面」と話しています。たとえば図から△２七歩▲同金△４七歩▲同銀△３九飛の銀桂両取りはどうか。手順中の△４七歩は直前の▲４四角で生じた手です。「△３九飛に▲４九歩（４六の角取りが残る）で頑張るかもしれないけど、後手から戦いは起こせそうです。▲７八金のような手はもう間に合わないかな」と佐藤義九段。大島女流初段もチャンス到来と感じているのか、手を止めて考えています。

（朝の大島女流初段）

（牛蒡）

片上大輔七段が関係者控室を訪れました。大島女流初段の同郷（広島市）の兄弟子です。休憩明けから▲２八歩△７二銀▲４八銀と進んだ局面で「後手の模様がよさそう」と話していました。

森信雄七段門下は大所帯で、これまで棋士が13人、女流棋士が５人誕生しています。もし大島女流初段がタイトルに挑戦すれば、森門下としては村山聖九段、山崎隆之八段、糸谷哲郎八段、千田翔太八段、室谷由紀女流三段に続いて６人目になります。糸谷八段も本日は東京・将棋会館で対局中です。昼食休憩中に本局の様子を見にきていました。

（片上七段は日本将棋連盟の常務理事も務める）

（牛蒡）

両対局者とも休憩時間の多くを盤の前で過ごしました。再開後の一手は▲２八歩。利かされた形ではありますが、佐藤義九段が指摘するように、先手は陣形を立て直したいところでした。△２五桂から△４六角の備えとしてやむをえない投資かもしれません。

（再開してすぐに▲２八歩が指された）


（牛蒡）