第1図(左図)は矢内女王が△7三桂と跳ねたところ。この数手前に先手が▲9八香と上がったり苦心の手順で千日手も心配されたが、後手に不満の無い局面と感想戦での両者の見解は一致していた。
ここでは後手の玉は金銀4枚の囲いで堅く、右桂も攻撃参加していては先手も動かないわけにはいかない。そこで▲7八飛を誘ってから△8六歩と攻撃を開始して矢内女王が優位に局面を進めることとなった。
第2図(左図)は岩根女流二段が▲5一角と打ったところ。ここで本譜は矢内女王が△8七歩成と歩を成ったが、控え室で検討されて有力と思われた△5五歩は▲7三角成△5六歩▲8二馬△5七歩成▲4六馬の展開に自信が持てず、矢内女王は見送ったようです。
確かにこの変化は後手も大変だったかもしれません。(千葉五段)
第3図(左図)は矢内女王が△2四金と交わしたところ。ここで一分将棋の岩根女流二段は▲1三桂成と香車を取ったが、この手が敗着と思われる。
ここでは▲4四桂と打つ手が先手に取って最後のチャンスでした。感想戦で矢内女王は△3一金を示していたが、この効かしが入れば先手から攻めの拠点が築けて、まだまだどちらが勝つかわからない終盤戦が続いていたでしょう。