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第8期 >> 挑戦者決定戦

記者会見

2015.03.09

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19時より、将棋会館2階で記者会見が行われました。加藤桃子女王、上田初美挑戦者のほか、谷川浩司日本将棋連盟会長が出席しました。


(谷川会長)
第8期マイナビ女子オープンは上田女流三段が挑戦権を獲得しました。今期は新人の和田女流初段が勝ち進んで注目されました。以前も長谷川優貴女流二段が同じようなケースで挑戦者になったことがありましたが、当時の女王タイトル保持者で挑戦を退けたのが上田さんでした。今回も上田さんが新人の躍進を止めたことになります。
昨年の女流棋士界は、甲斐女流二冠の活躍もありましたが、奨励会在籍者とベテランの活躍が目立ちました。さまざまな世代の方が活躍するのは喜ばしいことですが、本来もっと活躍しなければいけない世代の人が不振だったということがありました。今回、上田さんが挑戦者になったことは、ご本人も久しぶりということで、うれしいと思います。
実力者同士の五番勝負になりましたし、お二人の公式戦はまだ1局だけですので、どういう戦いになるのか、私自身も注目しております。


(続いて質疑応答へ。上田挑戦者)
―上田さんに質問です。本局の感想と今期を通して印象に残った対局を教えてください。

上田 今日の将棋は形勢判断から難しくて、どちらが勝っているか分からない時間が長かったです。最後の最後までこちらが悪いと思っていた部分もあり、非常に厳しい戦いでした。
今期は久しぶりに一斉予選から参加させていただきました。それがついこの間のように感じます。当時はすごく緊張していて、おなかが痛くなりました。どの将棋も印象深かったのですが、そういうこともあって予選1回戦がいちばん記憶に残っています。

―2年ぶりに五番勝負登場となりますが、以前と比べて変わったところはありますか。

上田 2年よりもっと前であるかのように感じます。本当に久しぶりです。その間に結婚をして、女流棋士会の役員も務めて、将棋以外の部分で変わったところが多くあります。将棋に対してとれる時間は減ってしまったのですが、気持ちの部分で少し安定してきたのではないかと思います。

―和田女流初段は17歳、加藤女王も20歳(本日が20歳の誕生日)ということで、10代前後で強い人が出てきました。先輩としてどのようにお考えでしょうか。

上田 女流棋士も層が厚くなったと言っていただく機会が多くなりました。先ほど谷川会長からも「昨年はベテランの活躍が目立った」というお話がありましたけれども、いろんな層の方が活躍されていて非常に刺激を受けています。私たちの年代がもう少し頑張らないといけないと感じます。

―和田さんは居飛車穴熊で勝ち上がってきました。上田さんも穴熊を得意にしています。今回は穴熊に穴熊で戦う予定でしたか。

上田 作戦を準備するにあたって、いろいろな可能性を考えました。和田女流初段は穴熊が得意なので、穴熊に組ませないで戦うという選択肢もありましたが、全面で受け止めていきたいと思っていました。

―実際に対局した手ごたえはいかがでしたか。

上田 公式戦で和田さんと対局するのは初めてです。棋譜もまだまだ少ない方なので、どういう将棋を指されるのかは事前に想像しづらかったですが、実際に盤をはさんでみて、ここまで勝ち上がってこられたのは決して勢いだけではなく、実力をもって勝ち進んでこられた方なのだと感じました。

―加藤女王の印象と五番勝負への抱負をお願いします。

上田 加藤女王は彼女が小学生のころから知っていまして、白瀧あゆみ杯で対戦させていただいたこともよく覚えています。それから奨励会と女流棋界で戦う場所は別々でしたが、ずっと注目していた方です。実際に対局する機会は少なかったですが、お会いしたときにはお話しさせていただいていますし、大舞台で戦えることをうれしく思います。



(「一斉予選の前日は緊張しておなかが痛くなった」と笑う上田挑戦者)

(加藤女王。本日は誕生日で、20歳になった)
―加藤女王に質問します。今日の将棋と今期全体の感想を教えてください。

加藤 今期全体では和田女流初段の活躍が印象に残りました。今日は上田先生の鋭さが印象的でした。感想戦を聞かせていただいたのですが「この変化は勝ち」「この変化は負け」と見切られていたのが印象に残りました。

―上田さんにもうかがいましたが、10代前後の人が活躍していることについてはいかがですか。

加藤 たしかに本戦のトーナメント表を見たときは、10代の人が多いな、フレッシュな顔ぶれだな、という印象でした。さらに清水先生や上田先生といった実力者の方もいて、とても楽しみにしていました。

―上田挑戦者の印象と五番勝負の抱負をお願いします。

加藤 私がとても困っていたとき、上田先生にご相談させていただいて何回か助けていただいたり、仕事でそそうがあったときも助けていただいたりと、とてもお世話になっている先輩です。本当に感謝しております。将棋に関しては、居飛車も振り飛車もなんでも指しこなせて、特に穴熊の経験値がとても高いと思っています。学ぶことがありすぎると思うので、今回の五番勝負はとても楽しみにしています。

五番勝負第2局が静岡県牧之原市で行われることについて一言お願いします。

加藤 牧之原市は私の出身地です。タイトル戦が行われるのは夢のようなお話でして、牧之原の方には本当に感謝しています。「静岡まきのはら大使」としてもうれしいですし、みなさまに牧之原のことを知ってもらいたいと思いますので、盛り上げていきたいと思っています。

【加藤桃子女王・女流王座、「静岡まきのはら大使」に】
http://www.shogi.or.jp/topics/news/2015/01/post_1136.html




(最後に記念撮影)

(書き起こし=牛蒡、撮影=紋蛇)

(紋蛇)